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太陽誘電とTDK、MLCC・インダクター共同開発検討で基本合意

太陽誘電とTDKがAI関連機器向けMLCC・インダクターの共同開発を検討する基本合意書を締結。製造、調達、経済産業省への共同申請の可能性、資本提携は今後協議する

執筆:Tokyo Brief Desk2026年9月29日3分で読める太陽誘電6976
サーバー電源基板上の小さなセラミックコンデンサーとインダクターコイル、1本の組立ラインに部品を供給する2本のリールを描いた編集部のイラスト

太陽誘電(6976)とTDKは、積層セラミックコンデンサー(MLCC)やインダクターなど先端電子部品の共同開発を中心とする業務提携を進める基本合意書を結んだ。ただ、両社が約束したのは今後の協議であり、供給体制が固まったわけではない。太陽誘電の開示によると、同社は2026年9月29日の取締役会で合意を決議し、同日に署名した。

合意した点と、していない点

合意の対象はMLCCやインダクターを含む電子部品。共同開発を主軸とし、太陽誘電は製造や調達での連携も含む包括的な提携を目指すとしている。

詳細は今後詰める。両社は今後、協業内容や役割分担について具体的に協議する。将来的な資本提携の可能性も検討する。開示には、共同製品や共同生産の投資規模、出資比率、価格、数量、開始時期は示されていない。

経済安全保障の観点

太陽誘電は、MLCCなどの先端電子部品が、安定供給の確保を対象とする経済安全保障推進法の特定重要物資に指定されていると説明している。この枠組みの下で、両社は共同供給確保計画の策定や経済産業省への共同申請を検討するとしている。いずれも検討段階で、申請を行ったことも承認されたことも開示には記されていない。

会社側の提携理由

太陽誘電は需要を軸に説明している。生成AIの普及で、AIデータセンターやAIサーバー、フィジカルAI向けの半導体やチップセットの世界需要が高まっているという。電源の安定化やノイズ抑制に不可欠とする高容量・高信頼性のMLCCやインダクターの需要も急速に伸びているとする。これらは同社自身の主張で、合意の理由として挙げたものだ。取締役会は、提携の検討が企業価値と株主共同の利益に資すると判断した。

同社は、今回の提携で最先端製品への顧客の需要に安定的かつ迅速に応え、競争力を高め、収益拡大と利益率向上を図る狙いとしている。また、両社をこうした部品製造における日本のキープレーヤーと位置づけ、国内産業基盤の強化とサプライチェーンの強靱化に貢献するとしている。

提携先と財務への影響

提携先のTDKは、各種電子部品の開発・製造・販売を手がける東京都の企業。開示は、両社の間に資本関係、人的関係、特筆すべき取引関係はなく、TDKは関連当事者にも該当しないとしている。

太陽誘電は、2027年3月期の業績への影響は軽微とみている。中期的には収益基盤の強化と企業価値の向上に資するとし、開示すべき事項が生じれば速やかに開示するとしている。

部品の調達側にとって、実務上の意味は限られる。大手2社が共同開発、さらには共同生産や共同調達の可能性について協議することで合意したにとどまり、条件は公表されていない。供給の共通化や政府への申請は、いずれもこれからだ。