神戸物産(3038)は9月29日の取締役会で、2033年満期のゼロクーポン転換社債600億円の発行と、上限400億円の自社株買いの実施を決議した。同社はこの自社株買いを過去最大としている。両者は一体の取引で、社債の調達資金のうち約300億円を自社株買いに充て、約300億円を合弁会社を通じて取得した航空会社向けケータリング会社群の取得費用に充てる。
今回の一連の決定は、Tokyo Briefが9月11日に報じた減益に続くものだ。これは別個の資本政策上の決定で、なお確定していない条件がいくつかある。
600億円の使途
同社は約600億円の調達を見込む。臨時報告書では、発行諸費用を約2億6000万円、差引手取概算額を約597億4000万円としている。約300億円は、アジア太平洋と北米で機内食事業を営む15社の株式取得に充てる。取得は、神戸物産が75%、パートナー企業が25%を出資する合弁会社MEAL HUBを通じて行う。対象はLSGグループのアジアパシフィック部門を構成する企業群で、カナダ、ニュージーランド、香港、韓国、タイなどで事業を展開する。同社は、この取得に2026年10月31日までに資金を充てるとしている。
残る約300億円は自社株買いに充てる。上限の400億円に届かせるため、神戸物産が手元資金約100億円を上乗せする。取得枠は最大1600万株で、7月31日時点の自己株式を除く発行済み株式総数の約7.21%に当たり、期間は2026年9月30日から2027年4月30日まで。上限400億円は、同日時点の連結株主資本の約22.86%に相当する。上限は購入を意味しない。発表資料では、市場動向により注文の一部または全部が執行されない場合があるとしている。
買い付け初日
神戸物産は、9月30日午前8時45分の東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)に買い付け注文を出した。対象は9月29日終値の2969円で1347万2500株、総額399億9985万2500円で、株数は変更しない。結果は取引終了後に公表する。この取引で上限に満たなかった場合は、市場動向や諸規則を踏まえ、9月30日以降も買い付けを続ける方針。
同社が挙げる理由は需給だ。社債を購入する海外機関投資家の一部が、ヘッジとして同社株を空売りすると見込む。立会外での買い付けでこの売りを吸収し、株価への短期的な影響を和らげられるとしている。買い付けが社債の発行条件にも寄与すると見込む。取得した自己株式は、ストックオプションの行使と、転換時に交付する株式に充てる。
社債の条件と希薄化
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発行額 | ¥60bn |
| クーポン | 0.0% |
| 払込金額/募集価格 | 額面の100.0%/額面の102.5% |
| 払込期日 | 2026年10月15日 |
| 償還期日 | 2033年9月30日 |
| 投資家のプット | 2031年9月30日、額面の100% |
| 転換条件 | 四半期末までの20取引日で終値が転換価額の150%超(2032年7月1日以降は130%) |
| 当初転換価額 | 未定。引受契約締結日の終値の1.0倍を下回らない |
| 上場 | シンガポール証券取引所 |
当初転換価額は未定。引受契約の締結日の終値を下回ることはできず、同社は価格決定時の市場価格を上回る水準に設定する意向という。潜在的な希薄化の規模は、価額が確定するまで公表しない。
同社は、この設計で希薄化を抑えられるとしている。転換できるのは、四半期末までの20取引日の各日で終値が転換価額の150%(2032年7月1日以降は130%)を上回った場合に限られる。例外もある。2031年10月以降は、転換時に額面相当額を現金で決済し、超過分のみ株式を交付する。社債は無担保・無格付けで、シンガポールに上場する予定。同社は業績予想に変更はないとしている。
これとは別に、J-Link Limitedは、クレジット投資家にはクレジット部分への投資を、その他の投資家にはワラント形態での投資を提供するため、社債の一部を買い付ける可能性があると発表した。当初転換価額を9月28日の終値と仮定して計算すると、潜在議決権数は2026年4月30日時点の総議決権数の最大9.18%に達し得る。J-Linkは新株予約権を行使せず、議決権も行使しないとしている。買い付けの有無と数量は未定という。神戸物産は、J-Linkの取引には関与していないとしている。
今後の確定日程は、9月30日の自社株買いの結果公表と、10月15日の払込期日。
