片山財務相は9月29日の閣議後記者会見で、9月25日のベッセント米財務長官との電話会談を受け、円に関する政府の立場を改めて示した。政府として、一般論として円の過小評価は問題だと考えており、電話会談でもこの点を再確認したと述べた。水準への言及は控えた。
同日に決めた、飲食料品の消費税率引き下げの準備や就業者負担軽減支援金に関する予備費の使用は、以前のTokyo Brief記事で報じた。本稿では、円、国債利回り、金融監督について片山氏が付け加えた内容を伝える。
円:一般論としての懸念、水準には言及せず
片山氏は、ベッセント氏との電話会談は金融市場の動向をめぐる意見交換で、日米が協力を強化することを再確認したと述べた。直ちに高市首相に報告したと説明した。高市首相が別に行ったトランプ大統領との電話会談では、通貨の話は出なかったという。
円に関する発言は、先般ニューヨークで行われた日米首脳会談で高市首相が、一般論として円の過小評価は問題だと述べたことによるという。片山氏は、高市首相は本人が言うようにリフレ論者ではないと、ベッセント氏に伝えたと述べた。今後、財務省は米財務省と緊密に連絡を取り、8月3日に双方が個別に出した声明にあるように、秩序ある為替市場の実現に取り組むという。
国債利回り:本人の説明では冷静な見方
質問者が依然3%台だと指摘した長期金利について、片山氏は数字へのコメントを控えた。財務省は国債管理を担う立場として、市場参加者と丁寧に対話していると述べた。
続けて、先週来日したJPモルガンの会長と投資家のドラッケンミラー氏から聞いたという話を紹介した。片山氏の説明では、両氏とも米国の金利上昇を異常とは見ていない。両氏は、原油を含む商品市況によるインフレ圧力、多くの国での歳出増、ハイパースケーラーによる大規模な社債発行を挙げたという。社債発行については、従来は国債が民間の資金調達を押し出していたが、それとは逆の動きだと片山氏は述べた。ほぼ全ての国債利回りが同じようなペースで上昇しており、日本の上昇は大きい方ではないという。片山氏は、この見方に同意すると述べた。
予備費と国会
予備費について片山氏は、閣議決定された大綱を挙げ、直ちに準備に着手する必要があると述べた。この予算が対応する課題として、中小企業のスマートレジやPOSレジ、支援金制度に伴う自治体の税務システム改修、公金受取口座の登録を挙げた。閣議決定では、内閣府、デジタル庁、財務省、経済産業省にまたがり、1118億7000万円を使用することを決めた。
国会審議前の支出は、参院の結果にかかわらず法案を成立させる政府の決意を示すものかと問われ、片山氏は、財務省として国会対策は議論していないと答えた。
監督:まだ存在しない検査企画室
片山氏は、金融庁が計画する検査企画室に関する質問の前提を訂正し、同室はまだ設置されていないと述べた。金融庁は2027年度の機構定員要求で要望しているにとどまる。片山氏は、その意図には地域金融機関での不正や経営上の問題が反映されていると述べた。金融庁は、財務局を含め、体系的・中期的な検査モニタリングのための人員を充実させることや、過去の検査事案を事後的に検証して検査手法を改善することを検討している。個別の債権を抽出する従来のラインシート方式が復活するかどうかは聞いていないと述べた。
