観光庁は、九州のホテルや旅行会社に対し、新たな復興割引を価格に織り込めば制度から除外される可能性があると警告した。九州復興支援割引は10月1日以降の宿泊が対象で、観光庁長官が9月の記者会見で対応方針を示した。
観光庁に関する当欄のこれまでの記事では、8月の訪日客数と制度の開始を扱った。本稿は、価格のルールと補助の背景にある予約への打撃を取り上げる。
価格上乗せの線引き
観光庁は、上乗せという言葉の範囲があいまいであることを認めた。たとえば、ホテル運営に必要な人員を確保するための客室料金の引き上げは正当化し得るとした。一方、制度が生む需要を見込んで割引額を事前に価格へ加えるのは、便乗した値上げであり、制度の趣旨に反し、「受け入れられない」との見解を示した。
制度を運営する都道府県には、旅行会社や宿泊事業者に補助分を価格に織り込まないよう伝えることを求めた。価格が合理的な範囲を明らかに上回る場合、都道府県は国に報告し、参加事業者としての登録の抹消も含めて厳正に対処する。観光庁は業界団体を通じ、旅行会社や宿泊事業者にも直接働きかけている。
観光庁は既に、キャンセルの規模に基づいて予算を都道府県に配分しており、具体的な使途の判断は各都道府県に委ねている。予約サイトに加え、旅館、ホテルの直販、旅行会社を通じた販売が順次始まる見通しで、その際に各都道府県の支出を確認する必要があるとした。
予約被害
補助の根拠となったのは、観光庁による国内大手旅行会社への聞き取りだ。観光庁によると、内容は主に国内旅行に関するものだった。2026年熊本地震の直後、熊本県のキャンセルは前年の水準の5倍に達し、九州全体では2倍を超えた。
先月の千葉県と北陸地方の大雨については、観光庁はより軽い状況を説明した。旅行会社からは災害当日と翌日に一時的なキャンセルがあったとの報告があり、現時点で大きな影響はないとする企業が多かった。
訪日旅行については、観光庁は日本政府観光局を通じ、重点22市場の海外の旅行会社に聞き取りを行ったと説明した。熊本を含むツアーを調整した市場もあったが、SNSや現地報道は発生直後に比べ落ち着いたという。日本全体への影響は当面限定的と判断した。
訪日客数と今後の対応
8月の訪日客数は約310万人で、前年同月比9.6%減った。1~8月の累計は約2763万人で、2.7%減だった。23市場のうち14市場で8月として過去最高を記録し、8市場は減少した。観光庁は原因を一つに特定できないとしつつ、一部の国からの減便、休日の時期のずれ、航空会社の燃油サーチャージ上昇を挙げた。
観光庁は、補助を実施して効果を検証した後、九州の旅行需要の回復状況に応じて追加の対応を検討するとした。訪日プロモーションや、新たな観光コンテンツの造成支援などが含まれる。このほか、能登半島では観光客数が2023年の水準の約60%にとどまっており、別の需要喚起策を検討しているという。
