環境省は、東京湾の底層溶存酸素量の環境基準のうち未整備だった部分、つまり各水域で基準を満たすべき測定地点の数とその達成期間を示した案を、意見募集にかけた。2009年の環境省告示の一部改正案で、9水域のうち8水域に達成目標を設ける一方、最も奥の水域は未定のままとしている。
案の内容
基準の対象は底層の溶存酸素量で、低酸素に対する地元の海洋生物の耐性に応じ、4.0、3.0、2.0mg/Lの3段階に分かれる。水域は地点ごとではなく、基準を満たす測定地点の割合で判定する。一時的・局所的な低下では個体群全体が脅かされる可能性は低いとみられるためだ。
各水域には3種類の達成期間のいずれかが割り当てられる。直ちに達成、5〜10年以内に「可及的速やかに」達成、または10年程度以内に暫定目標を達成する、の3つだ。
| 水域 | 基準値(mg/L) | 目標とする達成率 | 10年程度以内に目指す達成率 | 達成期間 |
|---|---|---|---|---|
| 湾口部 | 4.0 | 100% | 設定なし | 直ちに |
| 湾央部② | 4.0 | 71% | 64% | 暫定目標を10年程度以内に達成 |
| 川崎港・横浜港 | 3.0 | 100% | 設定なし | 5〜10年以内で可及的速やかに |
| 湾奥部① | 3.0 | 85% | 14% | 暫定目標を10年程度以内に達成 |
| 湾央部① | 3.0 | 50% | 33% | 暫定目標を10年程度以内に達成 |
| 東京港 | 2.0 | 100% | 50% | 暫定目標を10年程度以内に達成 |
| 千葉港 | 2.0 | 100% | 設定なし | 5〜10年以内で可及的速やかに |
| 木更津港 | 2.0 | 100% | 設定なし | 直ちに |
| 湾奥部② | 2.0 | 未設定 | 未設定 | 期間は未設定 |
湾口部と木更津港は、すべての地点が既に基準を満たしているため、直ちに100%の達成が求められる。湾奥部は事情が異なる。湾奥部①の85%という目標は、追加予定の新設地点を含む7地点のうち6地点に相当する。ただ、報告案の分類では、ほかの6地点は2024年3月までの10年間に基準を満たしたことがない。これらの地点は重要な生息域に位置付けられるため、報告案は算入している。暫定目標は、St-8の1地点としている。
案が定めていない点
湾奥部②には目標も期限も設けていない。5地点は期間を通じて基準を満たさず、報告案は同水域の底層酸素量が1950年代初めの時点で既に2.0mg/L、3.0mg/Lを下回っていたとしている。環境省は、現在のデータでは目標を設定できず、追加の測定を踏まえて決めるとしている。
千葉港では逆向きのずれがみられる。100%の目標は新設の測定地点1地点を根拠としており、この地点は期間中に基準を満たしたことのない既存地点に代わるものだ。
報告案の留意点
報告案は、各種の個体群を維持するのにどの程度の達成率が必要かについて、科学的知見が十分でないことを認めている。気候変動で夏季の酸素量がさらに低下する可能性や、栄養塩管理の変更で底層の酸素量が低下しかねないことにも注意を促している。目標は見直されることがあり、達成期間が10年に近い水域では中間評価を行うことが望ましいとしている。
日程
意見は日本語で、2026年9月30日から10月29日まで受け付ける。提出はe-Gov経由か、環境省の環境管理課への郵送による。公布と施行はいずれも2026年11〜12月を予定している。
