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イリソ電子工業の委員会、裁判官への支払い立証できず 税関への現金は確認

イリソ電子工業の委員会は、現地弁護士への約2700万円と約5000万円の支払いが裁判官に渡ったことは立証できなかった。一方、税関職員への長年にわたる現金支払い、売上の前倒し計上、決算作業が終わらないまま作成された連結決算は確認した。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年9月29日3分で読めるイリソ電子工業6908
税関検査レーンの脇に金メッキ用ドラムと銅スクラップの容器が並び、売上台帳から現金が還流する流れを線で示した概略を添えたイラスト

イリソ電子工業(6908)の第三者委員会は、海外の労働紛争をめぐり現地弁護士に支払われた金銭が裁判官に渡ったと確定的に認定することはできないとした。ただ、状況からみてその可能性はあるとしている。コネクタメーカーの同社は2026年9月29日、一部を非開示とした同委員会の報告書を公表した。確定的に認定された事実は、報告書の別の部分に記されている。

Tokyo Briefは7月に報じたとおり、同社は2回連続で決算の発表日を示していなかった。

委員会が確定できなかった支払い

最初の事案は、海外子会社で2008年から続く労働紛争に関するものだ。同子会社は顧問弁護士に対し、2021年3月に高等裁判所の判決を前に約2700万円、2025年8月に同じ紛争の最高裁判所判決に関連して約5000万円を支払った。

委員会は、金銭が裁判官に渡ったことを示す直接の証拠はないとして、その認定はしなかった。一方で、各支払いの前に弁護士が述べた内容を挙げた。弁護士は「ロビー活動」に言及し、2025年については仲介役として裁判官3人が必要だと述べた。2021年3月の従業員の業務記録には「労働カート2000万円(裁判官の取り込み)」との記載があった。委員会はこれを、弁護士がその金額を提示したものとみた。2025年の請求書には、弁護士報酬をはるかに上回る「労務関係支援」費用が記載されていたが、弁護士は求めに応じた内訳を示さなかった。

いずれの支払いも取締役会の決議ではなく、社内の持ち回り決裁で承認された。委員会は、2025年の支払いには親会社と子会社の双方の取締役会の承認が明らかに必要だったとしている。また、経営幹部は、金銭が裁判官に渡る可能性を認識していたか、容易に認識し得たと認定した。

一方、税関への支払いは確認

委員会は、別の海外子会社で、輸出入の通関手続きを円滑に進める目的で、税関職員への不適切な現金支払いが長期間続いていたことを確認した。金属スクラップの売却代金の一部が外部業者側にプールされ、その一部が現金で同子会社に戻されて、支払いの原資に充てられていた。

委員会の概算では、2012年4月から2026年3月までの支払いは、IMFの月次レートで換算して約1億2350万円になる。データの欠落で過少となる可能性も、正当な支出が混在して過大となる可能性もあると指摘している。2024年5月からは、現金が会計システムに計上されず表計算ソフトで管理され、それ以前の紙の承認書類は6カ月後に廃棄される予定だった。

会計・品質面の不備

委員会はまた、連結財務諸表が、期末の決算作業が完了していない海外子会社1社の数値を用いて作成されていたと認定した。監査法人には同子会社の経理体制に混乱が生じていたことは伝えられていたが、決算作業が未完了であることは主体的には伝えられていなかった。

海外子会社2社は、2023年4月以降に出荷した製品の売上を2023年3月に計上していた。うち1社は、納入が遅れると認識しながら、2023年3月期と2024年3月期にも売上を計上していた。委員会は、売上目標達成への圧力が影響した可能性があるとした。

売上計上時期の訂正による影響
委員会の表。単位は百万円、マイナスの数値は報告書で減少として表示。海外子会社2社の事案が対象
3月期売上への影響
20235億7100万円減
20244億7200万円増
20259900万円増

そのほかの会計処理の誤りも確認されたが、利益を操作する目的で意図的に行われたことを示す事情は見当たらなかったという。品質面では、過去のデータや乱数関数から試験報告書が作成され、規格外の結果が除外または書き換えられていたことを確認した。

今後の対応

会計監査人による監査は続いている。イリソ電子工業は2026年3月期の決算と過年度の決算短信の訂正を9月30日に発表する予定だ。同日は有価証券報告書の延長後の提出期限でもあり、過年度の報告書の訂正報告書も同日までに提出する計画だ。再発防止策は後日公表するとしている。

委員会は、調査が任意の協力に基づくものであり、その評価が直ちに同社グループや個人の法的責任を生じさせるものではないと強調している。