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金融庁、自社グループ向け再保険の免許要件緩和案 税優遇は想定せず

金融庁は自社グループだけを引き受ける会社の免許と最低資本金を調整する考え。追加の税制優遇は前提とせず、元受キャプティブは後の検討に回す

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月1日3分で読める
企業グループの子会社から小さな保険会社のノードへリスクが集まり、そこから階層化されたリスクが外側の再保険層へ渡る様子を示した抽象図

金融庁の事務局は、新設の保険制度ワーキング・グループに対し、再保険キャプティブ向けの専用免許制度への支持を求めた。再保険キャプティブは、自らの企業グループのリスクだけを引き受ける保険会社。案は通常の損害保険会社に適用される措置を超える税制措置を前提とせず、元受契約を直接引き受けるキャプティブは今後の検討に委ねる。同ワーキング・グループの初会合は2026年10月1日の予定。8月31日付の金融審議会への諮問に基づくもので、諮問は再保険キャプティブ制度の創設と生命保険のセーフティネット制度の見直しを求めている。

事務局の提案内容

日本にはキャプティブ固有の制度がない。国内で再保険キャプティブを運営しようとする企業グループは保険会社の免許が必要だが、事務局はこの種の事業には重すぎるとみている。このためハワイなど海外に子会社を設ける企業グループが多い。

方向性案は、再保険キャプティブを損害保険会社の一類型と位置づけつつ、金融庁が規律を調整できるようにする。免許の審査基準と最低資本金を調整する。最低資本金は通常の損害保険会社で10億円。さらに、キャプティブが引き受けられる対象グループ会社を定め、再保険できる保険種目を設定する。役員に関する制限は緩和し、簡素な資本規制を適用する。認める業務と子会社の範囲は通常の保険会社より狭める。資料は新たな資本金額を示していない。

事務局の比較表が各国の幅を示している。金融庁自身の比較によると、ハワイのクラス1のピュアキャプティブは最低10万ドル、シンガポールは40万シンガポールドル、アイルランドは130万ユーロが必要。2026年7月21日に閣議決定された日本成長戦略は、自らのグループのリスクだけを引き受ける保険会社の制度の検討を求めている。同日に内閣官房が策定した金融戦略は、次期通常国会への法案提出に向けた検討が進んでいるとしている。

税制と元受キャプティブ

事務局は英国を例に挙げる。英国では健全性規制機構と金融行為規制機構が2026年7月14日にキャプティブ規則案を公表した。意見募集は10月14日まで、実施は2027年半ばを予定する。英財務省は、税制優遇は必須の要素ではないとしている。

親グループに対し直接保険を引き受けるキャプティブについて、資料は設立した日本企業グループは確認されていないとする。また、海外で再保険を行うキャプティブは、保険業法が原則禁じる海外直接付保を実質的に認めることになると指摘する。このような制度がそもそも必要かどうかの検討を提案している。

業界・委員の意見

三菱重工業は同ワーキング・グループに対し、賠償責任保険の引受枠が不足したため、2026年4月にハワイに再保険キャプティブを設立したと説明した。自社グループのリスクのみを保有するキャプティブについて、資本金、常勤者、開示に関する国内の要件が海外より厳しくならないよう求めた。

フォーサイトリスクマネジメントは、1974年以降の日本企業系キャプティブを181社と集計している。同社はキャプティブを通常の保険会社の小型版ではなく、特別目的のリスク管理会社として扱う制度を求めている。事務局は公式の統計はないと指摘する。ある文献は100社前後、別の文献は2022年12月時点で162社としている。

ワーキング・グループ委員を務める慶應義塾大学の教授は、再保険キャプティブを優先し、税制優遇は見送ることを支持した。従業員向けの生命・医療保障は当面対象外とし、元受キャプティブについては時期を定めた見直しを求めている。