経済産業省は、無人航空機の安定供給確保に向けた取組方針の改正案について意見公募を始めた。供給事業者にとって重要な変更点は、資金面ではなくサイバーセキュリティとサプライチェーン上の連携にある。受け付けは10月5日から11月3日午後11時59分まで。改正案は、経産省が2026年3月13日に経済安全保障推進法第8条第1項に基づいて定めた方針を改めるもの。
新たな報告義務
方針は、供給確保計画が認定を受けるために満たすべき条件を定めている。改正案は実施体制の条件に5項目目を加えた。取り組みの範囲を問わず、サイバー攻撃を受けた、または受けた恐れがある企業は、経産省を通じて内閣官房国家サイバー統括室へ速やかにサイバーインシデントを報告しなければならない。新旧対照表はこの項目を新設と示している。
セキュリティ評価は推奨事項として
サイバーセキュリティの章は書き換えられる。経産省は、認定供給確保事業者に対し、サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度で★4を取得するよう推奨する。改正案によると、同制度は2027年3月に運用を始める予定だ。あわせて、JC-STARのラベルを取得したIoT製品の使用も推奨する。ルーターなどの通信機器とネットワークカメラについては、★3の製品の使用を推奨する。
同じ項目は、認定事業者に同じ基準を取引先にも広げるよう求めている。素材や部品の直接の調達先には★3か★4の取得を促し、どちらが適するかは認定事業者が調達先ごとに判断する。JC-STARラベル付きの機器の使用も促す。改正案は4項目すべてを推奨と位置づける。従来の文言は、経産省とIPAの管理ガイドラインや中小企業向けのガイドラインを挙げ、連携先として内閣サイバーセキュリティセンターを挙げていた。
供給途絶への対応権限と官公需
供給途絶に関する条項も新設された。事業の廃止で無人航空機の供給が脅かされる場合、経産省は経済安全保障推進法第9条の2に基づいて影響を調査し、事業者に供給確保計画の提出を促すことがある。認定事業者が計画どおりに取り組むのが難しくなる恐れがあり、経産省が特に必要と認めるときは、同法第11条の2に基づいて原材料の供給者などに協力を求める。民間企業に過度な負担を課してはならないとも明記している。
新設はさらに2項目ある。1つは、経産省、企業、金融機関、投資家に、これまで以上に緊密な連携を求める内容。もう1つは、官公需(防災、法執行、防衛)を支援の対象に加え、認定を受けた部品メーカーは民需・官公需の双方で完成機メーカーに部品を供給することが期待されるとする内容だ。
新設ではない点
取引先管理の条項は実質的に変わらない。コア技術を持つ取引先と秘密保持契約を結び、同等の措置を求め、履行状況を定期的にレビューする。新旧対照表で確認できる変更は、中小受託事業者への代金支払い遅延に関する法律が、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律という題名どおりに引用されるようになった点だけだ。日本政策金融公庫を通じた二段階融資の仕組み、支援法人としてのNEDOの役割、2030年の目標は改正案の本文にあるが、新旧対照表にはない。目標は、2030年までに無人航空機約8万台の国内量産基盤を構築することと、認定の条件として同年までに年間1万台以上を生産できる体制を整えることだ。
改正案は施行日が空欄のままだ。申請中の案件と既存の認定は、従前の規定で扱われる。問い合わせ先は経産省の次世代空モビリティ政策室。
