環境省は、農薬登録基準の改正案2件についてパブリックコメントを始めた。ネオニコチノイド系のチアメトキサムの水質汚濁に係る基準値と、グリホサートの水域の生活環境動植物に係る基準値を、いずれも引き下げる内容だ。意見募集は2026年10月6日から11月4日まで。基準値が定められた場合は、改正告示の公布の日から適用される。
これらの基準値は農薬取締法に基づく。同法は、農林水産大臣の登録を受けなければ農薬を製造、加工、輸入できないと定めている。水質汚濁上または生態系上の理由で登録を拒否しなければならないかどうかの基準は、環境大臣が定める。
何が変わるか
| 有効成分 | 基準値案 | 現行の基準値 | 基準 |
|---|---|---|---|
| チアメトキサム | 0.031 mg/L | 0.047 mg/L | 水質汚濁 |
| クロチアニジン | 0.25 mg/L | 0.25mg/L(変更なし) | 水質汚濁 |
| グリホサート(グリホサート換算) | 3,000μg/L | 6,200μg/L | 水域の生活環境動植物 |
| ピロキロン | 3,300μg/L | 3,300μg/L(変更なし) | 水域の生活環境動植物 |
チアメトキサムは強化、クロチアニジンは据え置き
水質汚濁に関する案は有効成分4種が対象で、2種は国内で新規、2種は再評価に当たる。2000年に国内で初めて登録されたチアメトキサムは、基準値を0.047mg/Lから0.031mg/Lに引き下げる。環境省の資料は、これを体重1kg当たり1日0.012mgの許容一日摂取量に結び付けている。この値は食品安全委員会が2026年6月10日に農林水産省へ通知した。基準値は、この摂取量に体重53.3kgと飲料水への10%配分を乗じ、1日2リットルで割って、端数を切り捨てた値。
再評価対象のもう1つのネオニコチノイド系であるクロチアニジンは、0.25mg/Lのまま。環境省によるチアメトキサムの水質汚濁予測濃度は0.014mg/Lで、同省は提案する基準値を超えないとしている。
残る2成分は稲、花き、芝用の殺虫剤と野菜用の殺菌剤で、いずれも国内で未登録。それぞれ0.1mg/L、0.25mg/Lの基準値が新たに設けられる。
グリホサートの水域基準値は引き下げ
2件目の案は、水域と陸域の生活環境動植物の被害防止を対象とする。アンモニウム塩、イソプロピルアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩を含むグリホサートは、水域の基準値をグリホサート換算で6200μg/Lから3000μg/Lに引き下げる。環境省の資料は、この変更を藻類に基づく値の低下によるものとしている。ウキクサの試験で毒性値は9210μg/Lとなり、これを不確実係数3で割った。前回の評価では、藻類に基づく18000μg/Lを不確実係数なしで用いていた。同省は現在、pHが大きく低下しない試験を優先している。
環境省の算定で予測濃度が最も高いのは、水田で使われるイソプロピルアミン塩の23μg/L。同省は、基準値を超えないとしている。鳥類の基準値として、体重1kg当たり130mgも提案されている。野生ハナバチ類については、同剤が昆虫成長制御剤ではなく、接触毒性値が1匹当たり11μg以上であるため、1巡目の再評価では基準値を設けない。
稲の新規除草剤と基準値据え置きの殺菌剤
2024年10月1日に申請され、日本で未登録の稲用の新規除草剤には、水域の基準値として33μg/L、鳥類の基準値として体重1kg当たり170mgが設けられる見通し。野生ハナバチ類の基準値も提案されており、成虫の接触ばく露は1匹当たり3.9μg、成虫の単回経口ばく露は0.59、幼虫の経口ばく露は0.60となっている。
稲の殺菌剤ピロキロンの水域の基準値は、3300μg/Lのまま。鳥類の基準値として体重1kg当たり83mgが新たに設けられるが、野生ハナバチ類の基準値は設けない。
告示案には、公布の日が示されていない。意見は日本語で、e-Govを通じて、または環境省の農薬環境管理室宛てに郵送で提出できる。
