奥村組(1833)は初のソーシャルボンドの発行条件を決めた。資金使途は協力会社向け60日手形払いの廃止。内容は無担保で150億円、利率は年2.704%、償還期限は2029年10月15日。発行登録追補書類には手取金の充当時期も示されている。同社は差引手取額149億3600万円の全額を2026年12月末までに充当する計画だ。
発行条件
発行価格は額面100円につき100円、各社債の金額は1億円で、申込期間は2026年10月8日、払込期日は10月15日。利払いは毎年4月15日と10月15日で、初回は2027年4月15日。元本は満期に一括で償還する。本社債に担保や保証は付されておらず、追補書類は社債管理者を挙げていない。財務代理人はりそな銀行。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発行内容 | 初の無担保ソーシャルボンド、150億円 |
| 利率 | 年2.704%、4月15日と10月15日に支払い |
| 償還期限 | 2029年10月15日 |
| 払込期日 | 2026年10月15日 |
| 信用格付け | A-(JCR)、2026年10月8日付 |
| 差引手取額 | 149億3600万円(発行諸費用の概算6400万円控除後) |
| 充当予定 | 協力会社への現金払いに伴う増加運転資金、2026年12月末までに充当予定 |
大和証券、野村證券、SMBC日興証券が買取引受方式で引き受け、引受額はそれぞれ75億円、60億円、15億円。引受手数料は額面100円につき35銭。発行諸費用は概算で6400万円。
資金使途
奥村組は手取金を増加運転資金に充てる計画だ。協力会社への手形払い(債務引受方式を含む)を廃止して全額現金払いに切り替えることに伴う資金需要で、手形期間は60日だった。追補書類は、建設業法が60日以内の手形期間の手形払いを認めていると記している。変更の理由として資機材価格の上昇と将来の担い手不足を挙げ、サプライチェーン全体でより安定的なパートナーシップを築くことが狙いだとしている。
追補書類は、切り替えに必要な増加運転資金の額を示していない。このため、149億3600万円と支払方法の変更との関係は、同社自身の説明に基づく。
安全策と情報開示
本社債は、日本格付研究所(JCR)から2026年10月8日付でA-の信用格付けを取得した。奥村組が2026年9月に策定したソーシャルファイナンス・フレームワークも、別途JCRから最上位のフレームワーク評価であるSocial 1(F)を取得した。この評価は調達資金の管理と報告の取り組みを対象とするもので、信用格付けではない。
本社債には担保提供制限が付く。奥村組が本社債の発行後に国内で発行する他の無担保社債のために担保を提供する場合、本社債にも同順位の担保を設定する。担付切換条項が付された無担保社債は対象外となる。本社債には純資産額維持条項などの財務上の特約は付されていない。奥村組は、調達資金が全額充当されるまで、合理的に実行可能な範囲で毎年自社ウェブサイトで開示するとしている。開示項目は、充当額、未充当額とその充当予定時期、現金払いを受けた協力会社の割合と対象社数。充当計画に大きな変更が生じた場合は適時に開示するとしている。
本社債は、2026年3月12日に効力が発生し2028年3月11日まで有効な500億円の発行登録の初の発行となる。
