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政策ウォッチ

公取委、ノウハウ無償提供と直前取り消しの指針を確定

公正取引委員会が確定した取適法とフリーランス法に関する運用基準と考え方は、ノウハウを知的財産に含めた。受託事業者に長期間予定を確保させた後、作業の直前に取り消した委託事業者は、費用と損失を負担しなければならないとした。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月2日4分で読める
作業台に置かれた鋼製金型の片側と、一枠が消された予定表カード、その奥の荷積み場に止まった配送トラック

公正取引委員会は2026年10月1日、取適法の運用基準とフリーランス・事業者間取引適正化等法の考え方の改正を確定し、公表した。いずれも既存の法律に基づく解釈の文書で、新たな法律や法執行事例の発表はない。ただ、公取委は知的財産分野を含め、違反行為に引き続き厳正に対処するとしている。

公取委、中小企業庁、特許庁は2026年6月24日、知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針を公表した。公取委は同日に改正案も公表し、7月23日まで意見を募集して20件が寄せられた。修正は技術的なものにとどめた。公表文に施行日の記載はない。

ノウハウも対象に

従来の文言は知的財産権を対象としていた。改正後の運用基準は「知的財産権等」を対象とする。知的財産権に加え、ノウハウを含む技術上又は営業上の秘密等が含まれる。受託事業者によるこうした権利の譲渡・許諾が給付の内容の一部となる場合、委託事業者はその範囲を明示し、代金を決める際に勘案しなければならない。当該権利を別の取引として受けるときは、範囲と対価を明確にしなければならない。

フリーランス法の考え方は、最初の点についてのみさらに踏み込んでいる。譲渡が給付の内容に含まれない場合、範囲と対価を明確にすることは義務ではなく「望ましい」とされる。公取委は回答の中で、ノウハウを知的財産として保護されていないものと定義し、図面、レシピ、工程表、成分表などを例に挙げた。

不当な要請の例が拡充された。金型メーカーの設計・加工データを対価なしで外国メーカーに渡させた委託事業者の事例が、今回の例に位置づけられた。新たな例には、ポスター用に委託したキャラクターデザインを後にグッズに使いながら追加の支払いをしなかった事例がある。価格の内訳を説明しないまま販促動画の著作権を取得した事例も加わった。

費用だけでなく損失も

委託事業者が給付内容の変更ややり直しをさせる場合について、従来は費用に言及していた。改正後は、受託事業者の「費用・損失」を負担しないことが受託事業者の利益を不当に害すると記された。受託事業者に責任がある場合の例外は残る。例えば、変更が受託事業者の要請による場合や、給付が指定された発注内容と異なる場合である。新たな事例として、委託事業者が相当の期間にわたり受託事業者に予定を確保させながら、作業の直前に取り消し、受託事業者がその日に別の仕事を受けられなくなったケースが加わった。この場合は受託事業者に責任がないとされ、委託事業者は費用・損失の全額を負担しなければ変更を要請できない。既存の運送の事例は、委託事業者の発注元が取り消したため、配送当日の朝に発注を取り消したケースである。この事例でも、費用に加え、受託事業者に生じた損失に言及するようになった。

改正の内容
出所:運用基準およびフリーランス法の考え方の新旧対照表
項目改正前改正後
対象となる権利知的財産権知的財産権に加え、ノウハウを含む技術上又は営業上の秘密等
変更ややり直しの後に委託事業者が負担するもの費用費用・損失
長期の予定確保後の直前取り消し該当する事例の記載なし受託事業者に責任のない事例として記載
価格協議の契機費用の変動、納期などの取引条件、需給、代金引下げの要請知的財産の利用拡大による給付の経済的価値の変動を追加

公取委は回答で、損失の額は個別に判断するとした。開催直前に中止されたフリーランスのイベントについては、委託事業者が書面通知の報酬額に相当する額を支払わなければ、フリーランス法違反となるおそれがあるとした。取適法でも、役務提供委託と特定運送委託では、委託事業者が代金に相当する額を支払わなければ同様のおそれがあるとした。事前に合意したキャンセル規定を設けることは可能だが、内容次第ではなお法違反となり得る。

価格協議

受託事業者の求めに応じて委託事業者が協議しなければならない事情に、知的財産の利用拡大による受託事業者の給付(知的財産の譲渡・許諾を含む)の経済的価値の変動が加わった。運用基準では、受託事業者が知的財産の対価について説明やレベニューシェアを求めたのに、委託事業者が具体的な説明をせず、従前の代金を据え置くか、自ら設定した総額を提示した場合、協議や必要な説明を拒んだものとして扱う。これにより委託事業者が一方的に代金を決めたときは、一方的な代金決定の禁止が適用される。

公取委は意見を寄せた側に対し、レベニューシェアや特定の支払方法を義務づけるものではないと回答した。また、この規定は価格決定の過程に関するもので、すでに合意した代金を遡って上乗せさせるものではないとした。