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IPS、和歌山のケーブル陸揚局事業へ新株発行 手取金上限54億9000万円

IPSはみずほ証券を通じて126万3500株を発行し、オーバーアロットメントに絡み最大18万9500株を追加で発行する。手取金は最大54億9000万円で、総額約230億円の和歌山ケーブル事業に充てるとしており、同社の最終的な負担額は未定。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月5日3分で読めるIPS4390
船のデッキに置かれた巻き取り済みの海底ケーブルと、海岸の陸揚げ用溝。幹線ケーブルから分かれる支線の図を添えている

東証プライム上場のIPS(4390)は、和歌山県での海底ケーブル支線の敷設と陸揚局の新設に充てるため、公募で新株式126万3500株を発行する。取締役会が2026年10月5日に決議した。同社によると、手取概算額は公募と関連する第三者割当増資の合計で上限54億9000万円で、全額を2030年3月期までに同事業へ充てる。

株式発行の仕組み

みずほ証券が公募の全株を買取引受けする。IPSは引受手数料を支払わず、みずほ証券は発行価格と、同社がIPSに払い込む金額との差額を手取りとする。発行価格は2026年10月14日か15日に決める。仮条件は、決定日の東証終値の0.90〜1.00倍。

公募にはオーバーアロットメントが付く。みずほ証券は既存株主から最大18万9500株を借り入れ、公募と並行して売り出すことがある。借り入れた株式の返還に充てるため、IPSはみずほ証券を割当先とする最大18万9500株の第三者割当増資も決議しており、払込期日は2026年11月18日。両者は一つの仕組みの表裏で、37万9000株の追加ではない。みずほ証券は借入株の返還のため11月13日まで市場で株式を買い付けることができ、買い付けた分だけ割当株式は減少するか失権する。オーバーアロットメントが行われない場合、割当株式は発行されない。

IPSの発行済株式数:現在と公募後
2行目は公募が完了した場合、3行目はみずほ証券が割当株式18万9500株の全てを申し込み、IPSが発行した場合の数字。現在の株式数は2026年8月31日時点。
段階発行済株式数
現在13,108,900
公募126万3500株の実施後14,372,400
第三者割当18万9500株の全量発行後14,561,900

資金の使途

手取金は和歌山プロジェクトに充てる。同県での海底ケーブル「Candle」の支線敷設と、ケーブル陸揚局の建設である。IPSは事業全体を2030年3月までに約230億円と見込むが、この額にはパートナー候補の投資が含まれる。発表資料によると、IPSはパートナー候補との共同の取り組みや各種制度の活用を含む事業スキームを検討中で、同社自身の負担額はその検討を踏まえて決める。手取金に残額が生じた場合は、フィリピンをはじめとする国際通信容量・通信回線網の増強に向けた設備投資に充てる予定。

Candleは日本、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポールを結ぶ約8000キロメートルのシステム。IPSは2025年7月、Meta Platforms、ソフトバンク、TM Technology Services、PT XLSmart Telecom Sejahtera とともにコンソーシアムに参画した。IPSの設備投資計画では、Candle建設の自社分として190億円を計上しており、うち52億1400万円を2026年8月31日までに支払い済み。完了予定は2028年中。支線の行は230億円で、注記によると支線と陸揚局の合計額で、パートナー候補の投資予定額を含む。資金調達方法には自己資金等と増資資金を挙げている。

なお未確定の点

手取金の額は概算である。発行価格とオーバーアロットメントによる売出株式数は、10月14日か15日の価格決定まで決まらず、割当株式の最終的な発行数はみずほ証券のシンジケートカバー取引と、同社が11月17日までに申し込むかどうかで変わる。発表資料は和歌山プロジェクトを精査中の段階としている。IPSの株主2人は、発行価格等決定日から受渡期日起算で180日目まで、みずほ証券の書面による事前の承諾なしに株式を売却しないことで合意している。IPSも株式の発行等について同様の合意をしているが、みずほ証券はいずれの合意も裁量で解除できる。