本文へ移動

金融プロフェッショナル向けに、日本の市場・ビジネス情報を平日夕方に配信。

無料登録
Tokyo BriefTokyo Brief 日本語版日本のビジネスニュースを、夕方に総まとめ。

記事

アクセルスペースホールディングス、撮影可能な4機で減損18億7900万円

アクセルスペースホールディングスは、放熱設計に問題があった可能性が高く、GRUS-3の7機のうち4機で高速通信による画像送信が恒久的にできなくなったと説明。18億7900万円の減損損失を計上し、売上高予想を引き下げ、残る3機の運用開始を2カ月延期する

正常な望遠鏡と過熱した電力増幅器を備えた小型衛星の断面図。地上局のアンテナへ向かう信号線が途切れている

アクセルスペースホールディングス(402A)は、衛星「GRUS-3」7機のうち4機で高速通信系統が恒久故障したと判断し、2027年5月期第1四半期に4機分として18億7900万円の減損損失を計上する。衛星が機能を失ったわけではない。同社は、高速通信系統以外の機能は正常に作動しており、地表の撮影は可能だとしている。

同社は9月29日に不具合を初めて公表した。10月6日の開示では、恒久故障との判断、減損、通期業績予想の修正、外部の評価体制の設置が新たに示された。

問題は撮影ではなく画像の送信

GRUS-3は独立した2系統の通信系統を搭載する。低速通信系統は、位置、姿勢、温度、電圧、機器の動作状況などのテレメトリデータを送受信する。高速通信系統は大容量の画像ファイルを地上局に送信する。故障したのは高速通信系統の電力増幅器で、電波を地上に届く強さまで増幅する部品だ。

同社は10月6日時点の推定として、電力増幅器が十分に放熱できず、温度が上昇してアンプ素子が損傷したとみている。同じ素子は旧型のGRUS-1で正常に稼働しているため、GRUS-3向けに設計変更した高速通信系統の放熱設計に課題があった可能性が高いと考えている。これは同社自身の推定にとどまり、設置を決めたアドバイザリーボードが検証する。

同社は、4機で予定していた画像データの提供を断念した。低速通信系統による画像提供の可能性やテレメトリデータの商用活用を検討しているが、いずれも実現するとは述べていない。GRUS-3に付していた保険では、今回の不具合は補償されない。

残る3機は2カ月延期

不具合のない3機も同じ設計だ。同社は電力増幅器の消費電力を抑え、通信時間を短縮して真空中での温度上昇を防ぎつつ、1機ずつ運用する方針。2026年中を目指していた商用運用の開始は2027年2月が目標となり、1月まで初期運用を続ける。

同社は、撮影能力は影響を受けた衛星の数に応じて下がるとする一方、サービス水準全体は精査中としている。防衛省の衛星コンステレーション事業を含む個別案件への影響については回答を控えた。2031年5月末までに30機程度とする計画は、現時点で変更の予定はないという。

業績予想の下方修正

アクセルスペースホールディングスは、2026年6月1日に始まる2027年5月期の通期業績予想を下方修正した。予想は現時点で見積もれる最大の影響を織り込んだものだという。

2027年5月期通期業績予想
連結業績予想(円ベース)。前回(2026年7月14日発表)と今回修正(2026年10月6日発表)の比較。損失は損失として表示
項目前回予想修正予想
売上高¥9.0bn¥6.7bn
営業損失¥800mn¥2.3bn
経常損失¥150mn¥1.7bn
親会社株主に帰属する当期純損失¥240mn¥3.65bn

AxelGlobe事業の売上高予想は、画像提供が想定より遅れるため、60億8000万円から42億4000万円に下方修正した。セグメント利益は経常損益ベースで34億円から19億7000万円に減る。AxelLiner事業の売上高予想は29億2000万円から24億6000万円に引き下げたが、同社はこれを別の案件によるものとしている。

アドバイザリーボードの検証内容

同社は10月6日、外部の専門家を招いた「GRUS-3不具合検証アドバイザリーボード」の設置を決めた。同社が推定した原因、今後打ち上げる衛星に適用する対策、プロジェクトの推進体制を評価する。日程は、10月中旬から11月中旬に同社が報告書を作成し、ボードの評価を経て11月末に最終報告を取りまとめる予定。状況報告の資料では、期間は構成委員の確定後およそ1.5カ月としており、委員は公表されていない。