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ローツェ、営業利益予想を39%上方修正 半導体装置の受注残1000億円超

ローツェは2027年2月期の営業利益予想を381億円から531億円に引き上げ、期末配当も28円に増やした。過去最高の半導体関連装置の受注と1039億円の受注残高が上方修正の背景にある。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月8日5分で読めるローツェ6323
クリーンルームでウエハー搬送ロボットがキャリアをストッカーに搬入し、手前では積み上がったキャリアが棒グラフのように高くなっている

ローツェ(6323)は2027年2月期の利益予想を4割近く引き上げた。中間決算と決算説明資料の数字から、その理由が読み取れる。同社は営業利益を530億7800万円と見込み、4月9日に公表した381億1200万円から上方修正した。要因として半導体需要の強さを挙げている。読者にとって重要なのは、このうちどれだけが手元の受注に裏付けられ、どれだけがまだ建設されていない工場に依存しているかという点だ。

上方修正の数字

売上高の予想は1800億700万円で、従来の1590億2100万円から引き上げ、前期実績の1287億9400万円を上回る。親会社株主に帰属する純利益は377億7900万円と、従来の278億900万円から引き上げた。1株当たり利益は217円84銭と予想する。ローツェは期末配当予想も従来の20円から28円に引き上げた。前期は17円だった。配当は2027年5月開催予定の定時株主総会に付議する。

ローツェの通期予想:修正前と修正後
2027年2月期、連結。前回予想は2026年4月9日公表、修正予想は2026年10月8日公表。予想は実績と異なる場合がある。
項目前回予想修正予想前期実績
売上高1590億2100万円1800億700万円1287億9400万円
営業利益381億1200万円530億7800万円311億5400万円
経常利益382億4100万円548億8900万円326億2100万円
親会社株主に帰属する純利益278億900万円377億7900万円190億4800万円
1株当たり利益¥159.62¥217.84¥109.33
1株当たり期末配当金¥20¥28¥17

同社が示した理由は簡潔だ。半導体需要が旺盛で売上が増え、売上増に伴って利益が増えるという。予想の注記には、実際の業績が異なる可能性があるという通例の但し書きも付く。

上期の実績

2026年8月31日までの6カ月間は、売上高が21.5%増の797億3300万円、営業利益が42.4%増の230億9600万円だった。経常利益は68.4%増の245億3800万円。前年同期は23億6800万円の為替差損だったが、今期は15億8900万円の為替差益が出て寄与した。純利益は45.7%増の158億3900万円。ローツェは、中間決算短信は公認会計士または監査法人のレビューの対象外だとしている。

ローツェ自身の表によると、下期に求められるのは売上高1002億7300万円、営業利益299億8100万円だ。このため上期は売上高予想の44.3%、営業利益予想の43.5%にとどまり、下期は上期より大きくなる必要がある。

受注が根拠

半導体関連装置の6カ月間の受注高は1205億4000万円で、前年同期の256.4%だった。同装置の受注残高は1038億6300万円で、前年同期の229.8%。ローツェは決算説明資料で、これらの装置の第2四半期の受注高は785億900万円で、第1四半期比87%増、前年同期の3.2倍だったと説明している。3四半期連続の過去最高とし、受注残高は前年同期の2.3倍になった。ローツェの海外子会社は暦年の四半期で報告するため、第2四半期は海外子会社が4〜6月、親会社と国内子会社が6〜8月にあたる。

ローツェは、北米のメモリーメーカーからのソーターとストッカーの受注急増と、中国の装置メーカー向けの前工程用ウエハー搬送モジュール(EFEM)の受注増加を要因としている。背景には、生成AI需要と広帯域メモリー(HBM)が半導体メーカーの設備投資を押し上げていることがあると説明する。これらは同社自身の説明で、独立した検証結果ではない。同社はこのメモリーメーカーの名前を明らかにしていない。

中間決算短信の販売実績表には、顧客2社の名前が記載されている。Applied Materialsは173億2500万円で売上高の21.7%を占め、前年同期の104億8800万円(16.0%)から増えた。Taiwan Semiconductor Manufacturing Companyは116億2800万円で14.6%だった。顧客の本社所在地別では、米国、中国、台湾の3地域で売上高の約8割を占めた。

新予想の内訳

上方修正の柱は半導体関連装置で、予想を従来の1324億8000万円から1529億7000万円に引き上げた。部品・修理は従来の106億3600万円から145億7900万円に増やした。他の2部門は引き下げた。分析装置は42億2500万円から34億9000万円に、フラットパネルディスプレイ(FPD)関連装置は100億9000万円から73億4900万円にそれぞれ減額した。ローツェは、分析装置の売上が減ったのは、顧客の装置検収時期がずれ込み、部品調達のリードタイムが長期化したためだとしている。

生産能力と供給リスク

ローツェは受注残を売上に変えるため、投資を進めている。ベトナムでは採用を加速し、8月に賃上げを実施した。倉庫機能を外部の賃借スペースに移し、空いた床をクリーンルーム化して組み立てに充てる。ベトナム新工場の稼働開始は、2028年第1四半期から2027年第4四半期に前倒しした。同社の床面積に基づく試算では、組み立て面積は既存工場の1万4400平方メートルに対し6万平方メートル、部品製造は1万8150平方メートルに対し5万3200平方メートルとなる。上海臨港地区では、既存工場の2交代制への移行や、近隣の建物の賃借(2027年春に稼働開始予定)などの対策を挙げている。

決算説明資料はリスクとして、メモリー価格の高止まり、調達部品のリードタイムの長期化、買い手による部材の早期確保競争を挙げている。ローツェは、部品の先行手配、在庫の確保、代替部品や代替調達先の確保を進め、納期への影響を抑えるとしている。在庫は半期で58億7000万円増えた。受注に伴い、原材料と仕掛品が積み上がった。

一時的要因と未解決事項

半期の業績には、特別損失に計上した訴訟和解金21億5800万円が含まれる。2月末の貸借対照表に計上していた訴訟損失引当金74億2900万円はゼロになった。ローツェは、川崎重工業が起こした米国の特許訴訟について、3月13日の陪審評決を経て8月3日に和解したと説明している。和解条件は秘密保持を理由に開示しない。同社は、和解で訴訟は終結し、今後の事業活動への影響はないとしている。

連結子会社のNanoverseは、納入した装置に対する顧客の評価待ちが続いており、ローツェは今期中に売上を計上できるよう交渉中としている。決算説明資料によると、Nanoverseは人件費10億1100万円とのれん償却額14億8900万円により、上期の営業利益を押し下げた。ローツェは半期報告書を10月14日に提出する予定だ。