公正取引委員会は2026年10月9日、静岡県富士市に本店を置く資本金9800万円の給湯器メーカーに対し勧告を出した。部品の取引先に対する5件の行為について、改正前の下請法と改正後の取適法にまたがって違反を認定した。勧告は課徴金や刑事上の認定ではない。
金銭の代わりに手形
同社は2026年2月から3月にかけ、取引先11事業者に対し、支払期日までに金銭またはこれと同等の手段で支払う代わりに、額面計2282万円の手形を交付した。公取委はこれを改正後の取適法が禁じる支払遅延に当たると認定した。勧告によると、同社は元本の全額を、納品後60日目から2026年7月までの間に支払った。残るのは、各納品から60日目を起点とする年14.6%の遅延利息と、取引先が代金の受け取りのために負担した手数料である。支払いは現金またはこれと同等の手段で行わなければならない。
少額の減額、対象は多数
手数料の減額に関する2件の認定は、金額は小さいが対象人数は多い。改正前の下請法の下で、同社は2025年5月から2026年3月にかけ、71事業者の代金から、実際に支払った銀行振込手数料を超える計15万7100円を差し引いた。改正後の取適法の下では、2026年2月から3月にかけ、85事業者の代金から振込手数料として計3万3730円を差し引いた。同社は両方を返還しなければならず、3万3730円には同じ年14.6%の遅延利息が付く。
2026年1月1日に施行された改正法は、資本金基準に従業員数基準を加えた。減額に関する改正後の取適法の認定対象85事業者のうち、26事業者は資本金基準、59事業者は従業員数(300人以下)基準で対象となった。同社の従業員は300人を超えていた。
取引先の倉庫に置かれた金型
同社は金型、樹脂型、治具を取引先に貸与し、それらを使う部品を長期間発注しないまま、保管費用を支払わなかった。公取委は、改正前の下請法の下で遅くとも2025年3月以降に10事業者が保管していた132点、改正後の取適法の下で遅くとも2026年1月以降に12事業者が保管していた64点を認定した。同社は2026年8月24日までに10事業者のうち3事業者と、25日までに12事業者のうち8事業者と、それ以降に発生する費用についての保管費用に関する覚書を交わした。過去の保管分の費用は、公取委の確認を得た上で支払わなければならない。
| 行為 | 適用法 | 事業者数 | 金額または点数、期間 |
|---|---|---|---|
| 手形で支払い、支払期日経過後も金銭を支払わず | 改正後の取適法 | 11 | 2282万円(その後支払い済み)、2026年2〜3月 |
| 実際の振込手数料を超える減額 | 改正前の下請法 | 71 | 15万7100円、2025年5月〜2026年3月 |
| 振込手数料名目の減額 | 改正後の取適法 | 85 | 3万3730円、2026年2〜3月 |
| 金型保管費用の未払い | 改正前の下請法 | 10 | 132点、遅くとも2025年3月以降 |
| 金型保管費用の未払い | 改正後の取適法 | 12 | 64点、遅くとも2026年1月以降 |
是正措置のチェックリスト
同社は取締役会の決議により、各行為が法に違反することと、今後は納品を受領した日から60日以内に現金またはこれと同等の手段で支払い、取引先側に責任がない限り代金から減額しないことを確認しなければならない。また、発注担当者に改正後の取適法の研修を行い、全役員、従業員、取引先の中小受託事業者に勧告の内容と講じた措置を通知する必要がある。その上で、講じた措置を速やかに公取委へ報告しなければならない。勧告は期限の日付を定めておらず、公表文は支払うべき遅延利息の総額を示していない。
