日本とオーストラリアは2026年10月2日、政府系金融機関の連携を図る協力覚書に署名した。協議の枠組みを設けるもので、投資案件の決定ではない。文書には融資額の記載がなく、個別案件の承認もない。
署名者
日本側の署名者は財務省、外務省、経済産業省。オーストラリア側は財務省と外務貿易省。財務省によると、覚書は日豪友好協力基本条約の50周年を記念して開かれた第1回日豪戦略投資ネットワーキング・フォーラムで署名された。同フォーラムには日豪の政策・金融機関約20機関の代表が参加した。財務省は10月5日に発表文を公表した。
対象機関と分野
脚注は、この枠組みの対象となる金融機関を列挙している。国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、日本貿易保険(NEXI)、オーストラリア輸出金融機関(EFA)、オーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)、太平洋向けオーストラリアインフラ金融ファシリティー(AIFFP)、国家再建基金公社(NRFC)。両政府が指定するその他の機関も追加できる。
文書は、重要鉱物やエネルギーを含むサプライチェーンの強靱性と、地域開発の目標を背景に挙げている。協力の対象は、日豪自身を含むインド太平洋としている。
覚書の内容
両政府は、共同投資の可能性がある案件について、金融機関と政策機関が早期に協議するよう促すとしている。案件の優先度や、両国の制度で必要かつ利用可能な支援を見極めるためだ。また、優先案件や戦略リスク評価の共有に向けた定例会合の連絡窓口を特定すること、取り組みの重複を避けるため情報共有を改善することでも一致した。
手段として、覚書は既存の2つの仕組みに言及している。1つは日本の海外経済安全保障アレンジメント(OESA)勘定で、JBICが戦略的に重要な案件に融資する。もう1つはオーストラリアの国益勘定で、オーストラリア輸出金融機関が運営する。両政府は、両勘定の活用を含め、ベストプラクティスで協力することを目指すとしている。
両政府はまた、通常のリスク基準や民間投資の基準に収まらない投資があり得るものの、民間資本を呼び込む助けになり得ると認めている。
限界
覚書は、法的拘束力のある権利義務を生じさせないと明記している。解釈をめぐる紛争は、裁判所などの第三者機関ではなく、参加主体間の協議で解決する。双方の書面による同意で修正でき、どちらかが6カ月以上前に書面で通告するまで効力が続く。財務省の発表文にも覚書本文にも、案件名や確定した資金額の記載はない。
