公正取引委員会は、知的財産権・ノウハウ・データの取引に関する指針の公表から、事業者の取引実態の確認へと軸足を移した。2026年10月9日に調査の開始を発表し、同日、5万の事業者に協力依頼状を発送すると明らかにした。ウェブアンケートへの回答期限は11月5日。
調査の対象
アンケートは、公取委の知財取引指針が独占禁止法上問題となるおそれがあるとして挙げた行為を対象とする。発注者と受注者の双方の立場から回答を求める。調達や法務の担当者にとっては、同じ取引慣行がサプライチェーンの両端から報告されうるということになる。
公取委はこの問題を取引上の力関係の格差として捉えている。独占禁止法上、優越的地位の濫用とは、一般に、優越した地位にある者がその立場を利用して取引相手に不利益な条件を押し付けることをいう。公取委は、知的財産権・ノウハウ・データは中小企業の成長の源泉だとする。大企業が無償や低廉な価格でこれらを吸い上げれば、中小企業の経営資源を損ない、事業者間の格差の固定化やイノベーションの芽を摘むことにつながりかねないと指摘している。
これまでの経緯
公取委の発表は、これまでの取り組みを振り返っている。2025年9月に実態調査を実施し、2026年3月に報告書を公表した。同年6月24日には、知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引に関する指針と契約書のひな形を公表した。Tokyo Briefはノウハウの無償提供をめぐる公取委の関連指針を取り上げた。今回の調査はこれとは別の取り組みで、指針の公表後の取引実態に関するデータを集める。
今後の予定
公取委は、調査結果を踏まえて関係事業者にヒアリングを実施し、その結果を公表する予定だとしている。独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為が認められた事業者には、注意喚起文書を送付する方針だ。
発表では、ヒアリングや結果公表の時期は示されていない。回答者の選定方法にも触れていない。調査の開始は違反の認定でも新たな禁止措置でもない。注意喚起文書の送付も、公取委が実施を予定しているとする対応で、既に行ったものではない。
