イリソ電子工業(6908)が10月9日に公表した決算補足資料は、イリソ電子工業の第三者委 裁判官への支払いは立証できず、税関への現金支払いは確認の内容にとどまらない。第三者委員会が見つけた会計・品質面の不備を記載し、減益予想をその是正に伴う費用と関連づけている。
品質面の不備
補足資料は品質管理上の問題を3件挙げている。信頼性実験室では、必要な試験を実施せず、過去の試験データで報告書を作成した。一部では規格外や不自然なデータを除外または書き換えたケースもあり、実際の結果と異なる試験報告書を顧客に提出した。工場では、検査基準書が定める抜取検査と、出荷時の最終測定の一部を実施せず、代わりに近接する工程の測定値に近似する数値を記録した。
同社はこのほか、カタログ品の金型変更を、顧客との取り決めで必要とされる承認を得ずに、社内運用に基づいて実施したとしている。共通の原因には、人員・設備の不足と、経営層が現場の問題を正しく把握していなかったことを挙げた。補足資料は、報告書がどの顧客に渡ったかや、不具合のあった製品があったかどうかには触れていない。
会計面の不備
財務報告については、現地の監査法人による監査の完了が繰り返し遅れ、経理スタッフ5人が一斉に退職したと説明している。その後、決算作業が未完了の数値を基に連結財務諸表を作成し、未完了であることを監査法人に自ら報告しなかった。別の事案では、本社が販売子会社に売上目標の達成を求め、倉庫から搬出も顧客への配送もされていない商品について売上を計上した。
支払いについて、補足資料は委員会の判断をそのまま記載している。長期の労働争議の解決に向け、2021年3月と2025年8月に支払った相場より高額な2件の弁護士費用の一部が裁判官に渡った可能性があるが、委員会は確定的な認定には至らなかった。税関職員らへの現金は、外部業者との取引で還流した代金を原資としていた。
経営責任と費用
同社は社長を交代し、名誉会長職を廃止する。社長は役員報酬の30%を6か月間返上する。会長と取締役3人はそれぞれ10%を3か月間返上し、監査等委員の社外取締役3人も同様とする。退任済みの役員も対象となる。
再発防止策には、ガバナンス推進部の新設、内部監査部門の体制強化と独立性確保、人員の増強と試験設備の補強、10月1日からコンプライアンス・安全・品質を最上位に位置づけた行動基準が含まれる。
業績数値
2026年3月期の売上高は9.9%増の619億6000万円と過去最高。営業利益は0.2%減の約54億円だった。補足資料によると、調査費用約13億円を特別損失に計上した。2027年3月期は売上高670億円(8.1%増)、営業利益35億円(35.6%減)を見込む。減益の要因として、原材料価格の上昇や、再発防止策に伴う人件費などの費用増とリスクを一部に挙げている。配当予想は第2四半期決算の結果を踏まえて決める。
第三者委員会の5か月にわたる調査は、9月28日に最終報告書を受領して終了した。委員会は、1月と2月に支払いを巡る懸念が浮上したことを受け、4月27日に設置された。
