農林水産省は、殺ダニ剤ピリミジフェンを施設栽培のバラへの1用途に限って認める評価書案について、意見を募集している。条件は、使用を閉鎖系施設に限ることだ。評価書案は、指定どおりに使用する限り、ミツバチの群の維持に支障を及ぼす可能性は低いと結論づけた。意見募集期間は2026年10月15日から11月13日まで。
評価の対象
申請者は三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社で、4.0%水和剤1製剤の登録を求めている。用途はバラ(施設栽培)のハダニ類で、発生初期に500倍に希釈し、10アール当たり100〜300リットルを散布する。使用回数は1作につき1回で、ピリミジフェンを含む農薬の総使用回数の上限も1回となる。
評価書案は、ピリミジフェンをフェノキシエチルアミン系の殺虫・殺ダニ剤と説明している。筋肉細胞内のカルシウムイオンの代謝異常を引き起こすと考えられている。2025年時点で、イスラエル、エクアドル、コロンビア、イラクで登録されている。
毒性の数値
評価書案は、セイヨウミツバチ成虫を使った3件の試験に依拠している。接触毒性試験2件の48時間LD50は、ミツバチ1頭当たり有効成分0.637マイクログラム(1991年の試験)と1.5マイクログラム(2024年の試験)だった。1991年の経口毒性試験1件では0.616だった。部会は、接触毒性指標を0.97(接触試験2件の結果の幾何平均)、経口毒性指標を0.61とした。
2つのLD50値はいずれも1頭当たり11マイクログラム未満だったため、評価書案はラベルへの注意事項の記載が必要としている。
暴露の有無が決め手
評価書案は、暴露量の推計も、段階的なリスク評価も行わなかった。閉鎖系施設という条件によってミツバチの暴露自体を防げるため、これらの手順は不要との判断だ。ミツバチが明らかに暴露しない適用に分類された用途はなかった。
成虫試験以外の根拠は乏しい。評価書案には、反復経口毒性、幼虫、花粉・花蜜残留、蜂群レベルの試験はいずれも挙げられていない。2009年7月から2024年7月までを対象とした文献検索でも、ミツバチに関する該当する公表論文は見つからなかった。
手続き
農林水産省の農薬蜜蜂影響評価部会は、2026年9月10日の第22回会合で評価書案を了承した。これに先立ち、2026年5月7日に農業資材審議会へ諮問されていた。同省は、寄せられた意見を考慮した上で評価書案を決定するとしている。今回の意見募集は、行政手続法に基づく手続ではなく、任意のものだ。
意見は日本語に限り、氏名、住所、連絡先を明記する必要がある。寄せられた意見は大半が公開される可能性があり、同省は個別の回答をしない。
