農林水産省は、水田で使われる除草成分ピラクロニルについて、ミツバチへの影響に問題はないとする評価書案をまとめた。評価書案は、申請どおりに使用される限り、ミツバチの群の維持に支障を及ぼすおそれはないと考えられると結論づけている。同省は10月15日に案への意見募集を始めており、受け付けは2026年11月13日23時59分に締め切る。
評価書案の結論
評価の対象は、登録申請された147製剤。大半はピラクロニルと他の水稲用除草成分を組み合わせた粒剤とフロアブル剤で、移植水稲と直播水稲を対象に、湛水散布や無人航空機による散布などでの使用が想定されている。ピラクロニルは光の存在下で酵素(PPO)の活性を阻害し、対象雑草の茎葉を褐変させて乾燥させる。2024年12月時点で、米国、韓国、中国、タイで登録されている。
毒性試験の数値
評価はセイヨウミツバチ成虫を用いた二つの試験に基づく。いずれの試験でも、試験した最高用量でも48時間以内に半数が死亡する用量は確認されなかった。
| 試験 | 48時間LD50 | 試験年 |
|---|---|---|
| 成虫単回接触毒性 | >100 μg ai/bee | 1997 |
| 成虫単回経口毒性 | >44 μg ai/bee | 2012 |
二つの値はいずれもミツバチ1頭当たり11μgの水準を上回るため、評価書案は注意事項は不要としている。評価書案はまた、ピラクロニルは昆虫成長制御剤に該当しないとしている。これらの理由から、有効成分の再評価の1巡目でリスク評価の対象には選ばれず、暴露量の推計も行わなかった。
試験記録の不足
評価書案には、幼虫毒性、反復経口投与、花粉・花蜜残留、蜂群への影響の各試験は記録されていない。成虫を対象とした二つの試験はいずれも優良試験所基準(GLP)に適合して実施されたが、未公表である。2009年10月から2024年9月までを対象にした文献検索では評価に使える論文は見つからず、2026年3月20日から4月18日までの公表文献に関する情報募集にも提出はなかった。
手続きの流れ
農林水産省は2026年5月7日に農業資材審議会へ諮問した。審議会の農薬蜜蜂影響評価部会がピラクロニルを審議し、9月10日に評価書案を了承した。同省は寄せられた意見を考慮したうえで決定するとしている。今回の意見募集は任意のもので、行政手続法に基づく手続きではない。
意見は日本語に限り、e-Govの入力フォームか、農林水産省の農薬対策室への郵送で提出できる。電話での意見は受け付けず、同省は個別の回答もしない。
