大塚ホールディングス(4578)は、フェーズ3(VISIONARY)試験の24カ月最終解析において、VOYXACT(シベプレンリマブ)投与群259例のうち複合腎イベントが認められたのは1例だったのに対し、プラセボ群251例では28例だったと発表した。同イベントは腎機能低下または腎不全と定義される。同社は相対リスク低減率を97.1%としている。
同社の傘下にある大塚製薬とOtsuka Pharmaceutical Development & Commercializationは米国時間10月22日、米デンバーで開催された米国腎臓学会のKidney Week 2026でこのデータを発表した。同社によると、この結果は同時にThe New England Journal of Medicineにも掲載された。本稿における有効性、安全性、論文掲載に関する記述は大塚ホールディングスの開示資料のみに基づいている。先行して公表された2年間の腎機能データについては、過去のTokyo Briefの記事を参照。
症例数が示す結果
同試験は、疾患進行リスクを有する成人の原発性IgA腎症患者510例を対象に、二重盲検プラセボ対照デザインで無作為化割り付けを行った。大塚ホールディングスによると、複合イベントの発現割合はVOYXACT群が0.4%、プラセボ群が11.2%だった。複合イベントを構成する各評価項目でもVOYXACT群で良好な結果が示された。
| 評価項目 | VOYXACT | プラセボ |
|---|---|---|
| 複合腎イベント(腎機能低下または腎不全) | 1 (0.4%) | 28 (11.2%) |
| eGFRの40%以上の持続的低下 | 1 | 28 |
| 血清クレアチニン値の持続的な2倍化 | 0 | 13 |
| eGFR 15 mL/min/1.73 m²未満への持続的低下 | 1 | 10 |
| 腎代替療法の開始 | 0 | 5 |
また大塚ホールディングスによると、24カ月時点の24時間尿蛋白/クレアチニン比は61.3%低下した。ベースライン時に血尿を有していた患者のうち、尿試験紙法で陰性となった割合はVOYXACT群で78.6%、プラセボ群で20.2%だった。同社は、VOYXACTがフェーズ3試験段階のIgA腎症治療薬として初めて、年間の腎機能低下を1 mL/min/1.73 m²未満に抑えるというKDIGO 2025ガイドラインの目標を達成したとしている。
安全性
大塚ホールディングスは、24カ月間にわたる安全性プロファイルは一貫しており、プラセボと同程度だったとしている。全有害事象の発現率はVOYXACT群が90.7%、プラセボ群が90.0%で、注射部位反応はそれぞれ35.1%と32.3%だった。重篤な感染症の発現率はVOYXACT群が1.9%と、プラセボ群の4.0%を下回った。同社は新たな安全性上の懸念は認められなかったとしている。
薬事承認に向けた手続き
VOYXACTは2025年11月、進行リスクのある成人のIgA腎症におけるタンパク尿の減少を効能として米国の迅速承認を取得した。VISIONARY試験の完了に伴い、大塚製薬は正式承認の取得に向け、米国時間10月6日に米食品医薬品局(FDA)への生物製剤承認一部変更申請の段階的提出を完了した。開示資料にはFDAの判断時期に関する記載はない。
大塚ホールディングスは2026年12月期の連結業績予想を据え置いた。同社はVOYXACTを今後の成長を牽引する製品の一つと位置付けており、今回の結果を中長期的な価値向上に向けた重要な進捗だとしている。非盲検長期継続試験(NCT05248659)が現在も進行中で、同社は同試験から今後追加データが得られる見込みだとしている。
