ニデック(6594)は、10月16日に受領した役員責任調査報告書について、営業秘密や個人のプライバシー保護のため一部を非開示とした上で公表した。弁護士を委員長とし、弁護士2人と公認会計士1人で構成する調査委員会は、不適切な会計処理について旧役員9人が会社に対し責任を負うべきだとしている。 Tokyo Briefの関連記事
調査委が責任を認定した対象者
調査委は、創業者や歴代社長を含む旧取締役6人について、任務懈怠による会社への損害賠償責任を定めた会社法423条1項に基づく責任があると結論付けた。旧常勤監査等委員2人も同条項の対象となる。また、取締役ではなく執行役員だった旧最高財務責任者(CFO)1人は、民法またはニデックの執行役員規程に基づく責任を負う。調査委は、各人が負うべき賠償責任の範囲はそれぞれの寄与度に応じて判断されるべきだとしている。
調査結果の核心は個別の案件ではなく会計処理の手法にある。調査委によると、ニデックは営業利益目標を先に設定し、その範囲内でのみ減損や償却を認めており、本来の会計処理の順序を逆転させていた。報告書はこれを、2016年11月に始まった資産健全化プロジェクトと、2023年3月期第4四半期の構造改革に結び付けている。さらに、車載事業における個別の会計不正として、メキシコ子会社の滞留債権、トラクションモータ、インバータの3事案も挙げた。
調査委は全員に損害賠償責任を認めたわけではない。任務懈怠が精密部品子会社での会計事案に限られていた2人については、事案の規模が小さく、グループ全体の決算修正との因果関係を予見することも困難だったと判断し、賠償責任を認めなかった。また、社外取締役らが処理方針の具体的内容を認識していたことを示す証拠も見つからなかったとした。
損害として計上された費用
調査委は、2025年8月から2026年8月までの間にニデックが負担した損害として3項目を計上した。このほかにも有事対応費用が発生しており、損害額がさらに増える可能性があるとしている。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 調査費用 | 222億円 |
| 監査費用 | 53億円 |
| 東京証券取引所の上場違約金 | 9120万円 |
今後の焦点
調査委は、寄与度に応じた損害賠償額の算定は困難だとして、責任追及訴訟における裁判所の判断に委ねた。報告書の末尾では、本報告書は最終的な結論ではなく、裁判で主張・立証を尽くして裁判所の判断を仰ぐべき事項が含まれていると付言している。
ニデックは報告書に基づき、損害賠償請求その他の法的措置を行うか検討しており、決定次第速やかに開示するとしている。提訴するとは明言していない。
剰余金処分に関する責任は報告書に含まれていない。ニデックが過年度の訂正報告書を提出しておらず、過去の分配可能額が不確定なため、調査委は調査対象外として整理した。ニデックはこの点について、過年度の計算書類の訂正が完了した後に提訴を検討するとしている。また、9月30日提出の有価証券報告書に対して会計監査人が監査意見を表明していないため、調査委は修正再表示前の有価証券報告書に依拠した。
