J.フロント リテイリング(3086)の2026年3〜8月の決算は、富裕層と免税の需要が強い一方、決算上は減益となった百貨店グループの姿を示した。売上収益は2.8%減の2138億円。事業利益は5.6%減の266億円、営業利益は10.5%減の268億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は5.3%減の174億円だった。総額売上高は、消化仕入取引とテナント取扱高を総額ベースに置き換えて同社が算出しており、2.5%増の6382億円。事業利益は売上収益から売上原価と販管費を差し引いたもので、営業利益は事業利益にその他の営業収益・費用を加減算したもの。
万博との比較と梅田の売場閉鎖
同社は売上収益の減少について、主に百貨店事業での前年の大阪・関西万博関連売上の反動減と大丸梅田店の大型改装に伴う売場閉鎖の影響、さらにデベロッパー事業での前年の内装関連の大口受注の反動減によるものとしている。売上総利益は0.2%減とわずかに減少し、販管費は1.7%増の807億円だった。
百貨店事業の売上収益は1.0%減の1284億円、事業利益は2.6%減の156億円。同社は、外商を中心とした富裕層向け売上と免税売上は拡大したが、広告宣伝費の増加とベースアップが利益の重荷になったとしている。説明資料では、大丸梅田店の売上高は38.6%減、梅田店を除く大丸松坂屋百貨店の店舗計の売上高は7.0%増。大丸松坂屋百貨店の免税売上は13.8%増の534億円。同社によると、客数は16.7%減、客単価は36.6%増で、中国本土からの客数は大きく減少したものの、円安が消費額を押し上げた。
営業利益がさらに減った理由
営業利益の減少幅が事業利益の減少幅を上回ったのは、その他の営業収益が51.7%増の44.6億円となった一方、その他の営業費用が270.2%増の42.4億円に膨らんだため。SC事業では事業利益が1.3%増となったが、営業利益は19.8%減の76.5億円だった。同社は、前年は旧松本PARCOの売却に伴うリース解約益を計上し、今年は事業整理損を計上したとしている。
予想修正は項目で方向が分かれる
同社は通期の事業利益予想を520億円から535億円に上方修正した。営業利益予想は470億円から460億円に、税引前利益予想は420億円から410億円にそれぞれ下方修正した。当期利益予想は290億円で据え置いた。
| 項目 | 4月 | 修正後 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 4690億円 | 4700億円 | +10億円 |
| 事業利益 | 520億円 | 535億円 | +15億円 |
| 営業利益 | 470億円 | 460億円 | -10億円 |
| 税引前利益 | 420億円 | 410億円 | -10億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 290億円 | 290億円 | 変更なし |
決算短信によると、事業利益の上方修正は、百貨店事業の外商売上と免税売上の好調に加え、第3四半期以降の前提を見直したことを反映した。説明資料によると、営業利益の下方修正は、大丸下関店の営業終了に伴う費用などによる。
事業利益の上方修正幅は、中間期の上振れより小さい。中間期の事業利益は4月公表値を45億9000万円上回ったが、通期予想の引き上げは15億円にとどまる。説明資料からは、下期の事業利益予想が269億円で、4月公表値より30億円低いことが読み取れる。説明資料は、中間期の上振れの一部は販管費の下期への期ずれによるものとし、デベロッパー事業のJ.フロントプライムスペースの下期計画は、外部工事が遅れる可能性を織り込んで減額したと説明している。
中間配当は28円で、1円の増配。通期予想は56円で据え置いた。梅田の影響は続く。説明資料は、下期の大丸梅田店の売上高を30.0%減と見込む。決算短信は公認会計士または監査法人のレビューの対象外。
