東京製鐵(5423)は通期の営業損益予想を40億円の赤字から10億円の黒字に修正した。2026年10月16日付の業績予想修正で、同社は純利益予想も10億円から70億円に引き上げた。数値はいずれも2027年3月期の個別業績予想で、実績ではない。
営業利益改善の要因
同社は4〜9月期の営業損益が改善した理由を2点挙げている。製品出荷単価が想定どおり上昇したことと、主原料である鉄スクラップの購入価格が想定を下回ったことだ。お知らせには、いずれの影響額も示されていない。
中間期は、営業損失予想が40億円から35億円に縮小する一方、売上高予想は従来の1550億円から減って1504億円となる。営業損益、経常損益とも、中間期はなお損失を見込む。前年の中間期の営業利益は60億4500万円だった。
通期については、実施済みの価格改定が出荷単価に順次反映されるとして、営業利益は黒字に転じると見込む。売上高予想は3150億円から3260億円に上方修正した。経常利益は、従来の25億円の赤字予想に対し20億円の黒字を見込む。中間期の営業損失を見込むため、通期の黒字は下期が担う形になる。
| 項目 | 7月公表の予想 | 修正予想 | 前期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3150億円 | 3260億円 | 2680億9500万円 |
| 営業利益 | 40億円の赤字 | 10億円の黒字 | 72億3000万円の黒字 |
| 経常利益 | 25億円の赤字 | 20億円の黒字 | 86億3200万円の黒字 |
| 純利益 | 10億円 | 70億円 | 115億5700万円 |
| 1株当たり純利益 | ¥9.81 | ¥69.28 | ¥112.56 |
純利益は資産売却が支え
純利益予想の引き上げは、別の要因による。同社は資産売却が進んだため、中間純利益が計画より改善するとしている。中間純利益予想は10億円から22億5000万円に、1株当たりでは9円81銭から22円9銭に上がる。お知らせには、売却資産の名称も、売却額や売却益も示されていない。
通期の純利益予想70億円(1株当たり69円28銭)は、前期の115億5700万円を下回る。お知らせは、中間期の資産売却と営業面の改善以外に、通期の純利益について個別の説明をしていない。営業段階の10億円の黒字は純利益70億円に比べて小さく、2つの利益を一つの改善として読むべきではない。
経営の方針と留意点
東京製鐵は引き続き採算を重視する方針だという。国内外の製品需給や原料事情の変化に迅速かつ柔軟に対応できる体制を整え、生産に使う原材料の使用量も減らす計画だ。
同社は、予想は発表日時点で入手可能な情報に基づいており、不確実性を伴うと注意を促している。実際の業績は鉄スクラップ価格や鋼材市況によって大きく変動する可能性があるとする。中間期に追い風となったスクラップ価格は、通期の数字を左右し得る2つの変数の一つだ。
