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パソナ、ヒルハウス系の1株2020円での非公開化TOBにサークレイス株応募で合意

パソナは保有するサークレイスの全株式をHHH1による1株2020円のTOBに応募することで合意し、非公開化が成立すれば2027年5月期の連結決算で約26億円の売却益を見込む

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月22日4分で読めるパソナグループ2168サークレイス5029
積み上がった持分ブロックが3分の2の基準線に向かってせり上がり、左右から2つの大きなブロックが滑り込む抽象的な図

パソナグループ(2168)は10月22日の取締役会で、保有するサークレイス(5029)の全株式144万株を、東京都に本拠を置くHHH1合同会社によるTOB(株式公開買付け)に応募すると決議した。サークレイスによると、HHH1はHillhouse Investment Managementが管理、助言または運営するファンドを通じて所有されている。TOBが成立すれば、サークレイスはパソナグループの持分法適用関連会社から外れ、パソナグループは売却に伴う特別利益の計上を見込む。

サークレイスとHHH1は、この保有分を潜在株式勘案後の株式総数の32.31%としている。一方、パソナ自身の開示資料は冒頭で32.31%、対象者の概要欄で32.89%と記載している。

TOBの概要

HHH1はサークレイスの全普通株式を1株2020円、新株予約権を1個1円で買い付ける。サークレイスの取締役会はTOBに賛同し、株主に応募を推奨する一方、新株予約権者には応募の判断を委ねた。

HHH1によるサークレイスへのTOB概要
TOB公表資料に基づく条件。日程は予定であり、TOBは未完了。
項目内容
1株当たり買付価格¥2,020
新株予約権1個当たり買付価格各1円
買付期間2026年10月23日〜12月7日(30営業日)
結果公表日2026年12月8日
決済開始日2026年12月14日
買付予定数の下限297万800株(潜在株式勘案後株式総数の66.67%)
買付予定数の上限なし

買付予定数の下限は潜在株式勘案後の株式総数の3分の2に設定された。HHH1が全株式を取得できなかった場合に株式併合を可決するのに必要な議決権数に相当し、応募が下限に満たなければ買い付けを実施しない。HHH1は買収資金として親会社のInspire APAC Holdingsから最大92億円の出資を受ける予定で、借り入れは行わない。

HHH1はサークレイスの第2位株主であるTQUILA LIMITEDとも、137万2600株(所有割合30.80%)を対象とする応募契約を結んだ。TOBの開示資料が示す比率に基づけば、主要株主2社の応募分だけでは下限の66.67%に届かない。

パソナの売却益と資本関係解消

パソナは2027年5月期に、関係会社株式売却益として個別決算で約29億円、連結決算で約26億円を計上する見込みだ。通期の連結業績予想については現在精査中で、修正が必要になった場合は速やかに開示するとしている。

パソナは応募の理由について、生成AIの普及でITサービス事業の競争が激化するなか、グループ内でのサークレイスの位置づけを慎重に検討した結果、今回のTOBによってサークレイスの中長期的な企業価値向上が見込まれ、買付価格も妥当と判断したと説明している。サークレイスは2012年にパソナとTquila Internationalの合弁会社として設立された。

パソナの応募には前提条件が付くが、同社はいずれの条件も放棄できる。条件には、HHH1が自らの義務を履行すること、サークレイスの取締役会が全会一致での賛同を維持すること、TOBを差し止める裁判所や規制当局の命令がないことなどが含まれる。競合他社がより高い価格でTOBを開始するか、法的拘束力のある実現可能な提案を公表し、HHH1に対して買付価格の変更に関する協議の申し入れが行われた場合、要請から5営業日以内または公開買付期間満了日の2営業日前のいずれか早い日までにHHH1が価格を同水準以上に引き上げなければ、パソナは応募しないか、応募を撤回できる。また、この権利を行使しない限り、パソナは契約締結から決済開始までの間、HHH1の書面による同意なしに株主総会の招集請求といった株主権を行使できない。サークレイスによると、パソナが買付価格以外に受け取る利益はない。

買付価格と非公開化の手順

買付価格は、10月21日のサークレイス株終値(885円)を128.25%上回り、同社のファイナンシャル・アドバイザーがディスカウンテッド・キャッシュ・フロー(DCF)法で算定した1498〜2189円のレンジの中央値も超える。当初の提示額はこれより低く、HHH1が8月11日に行った最初の価格提案は1541円だったが、独立した取締役と監査役で構成する特別委員会が複数回にわたり再考を求めた。HHH1は10月20日、2020円を最終かつ最善の提案として提示した。

サークレイスの2026年3月期決算は、売上高が45億4000万円、営業利益が2億6600万円だった。監査法人によるレビューを受けていない上期の速報値は、売上高26億1000万円に対し営業損益が1億100万円の赤字となっており、同社はAI投資や外注費の増加が要因だとしている。

HHH1は全株式と全予約権を取得できなかった場合、スクイーズアウト(強制買い取り)を実施する計画だ。議決権の90%以上を取得した場合は残る株式の売渡請求を行い、90%未満にとどまれば、2027年2月下旬ごろに予定する臨時株主総会の開催をサークレイスに要請し、株式併合の承認を求める。残存株主には1株当たり買付価格と同額が交付され、サークレイス株は東証グロース市場から上場廃止となる。TOBの結果公表は12月8日、決済開始は12月14日の予定だ。