三井不動産アコモデーションファンド投資法人(3226)が投資主に示す説明は明快で、賃料の上昇が続くため分配金も引き上げられるというものだ。ただ、同投資法人自身の業績予想はそう単純ではない。この住宅系J-REITは、向こう2期(各6カ月)の当期純利益がいずれも減益となる見通しを示す一方、1口当たり分配金は両期とも増配を見込み、その差額の一部を内部留保で補うとしている。
2026年8月期(6カ月)の実績
決算短信によると、2026年8月期(2026年3〜8月)は営業収益が6.3%増の145億9000万円、営業利益が9.2%増の75億2000万円、当期純利益が7.6%増の68億4000万円だった。1口当たり分配金は2445円と、前期の2405円から増加した。資産運用会社は決算説明資料で、分配金が4月時点の予想(2397円)を48円上回ったと説明している。
同投資法人は4月にパークアクシス月島とドーミー西荻窪の2物件を合計28億円で売却し、8億8800万円の売却益を計上、このうち6億8100万円を圧縮積立金として内部留保した。決算説明資料によると、譲渡益等を除く1口当たり分配金は2406円としている。
賃料は上昇が継続
リーシング面では、テナント入替え時の賃料が従前賃料を15.2%上回り、過去最高だった前期の15.6%に迫る水準となった。更新時の賃料変動率はプラス2.9%と、前期の1.9%から拡大し、決算説明資料では更新住戸として過去最高としている。資産運用会社によると、更新時の賃料改定方針を強化した後の5〜8月に成約した更新分は平均3.5%の上昇となった。月末稼働率の期中平均は97.2%で、4月時点の想定(97.5%)を0.3ポイント下回った。
また資産運用会社は、2026年6月30日時点でポートフォリオのターゲット賃料が現行のレントロール賃料を13.6%上回っていると試算している。これは資産運用会社独自の内部値付けに基づくもので、テナント入替え時の賃料変動率とは別の指標だ。
予想利益が減少する要因
同投資法人は2027年2月期(6カ月)について、営業収益が前期比4.6%減の139億3000万円、当期純利益が12.2%減の60億円になると予想している。続く2027年8月期(6カ月)は、営業収益が2.5%増の142億7000万円、当期純利益が1.0%減の59億4000万円を見込む。
決算説明資料の予想増減要因によると、最初の期には2つの押し下げ要因がある。8億8800万円の物件売却益がなくなることに加え、支払利息等の費用が1億7800万円増加し、翌期にはさらに2億100万円増える。決算短信では、両期末の有利子負債残高をいずれも1767億円と前提した上で、支払利息及び投資法人債利息等をそれぞれ9億300万円、11億400万円と見込んでいる。決算説明資料では、2027年8月末までに日本銀行が3回の利上げを行い、政策金利が2.0%まで上昇すると想定している。
2026年8月末時点の加重平均金利は0.87%と、6カ月前の0.72%から上昇し、長期固定負債比率は87.8%から81.1%に低下した。決算短信では、急ピッチな金利上昇を踏まえ、期中は変動金利を中心に借入れを行ったとしている。
減益予想でも増配を見込む仕組み
決算短信では、予想対象となる向こう2期に圧縮積立金をそれぞれ1億7300万円、3億200万円取り崩すことを前提とし、1口当たり予想当期純利益の2384円と2359円に対し、1口当たり分配金を2453円と2479円に設定している。
| 項目 | 2026年3〜8月(実績) | 2026年9月〜2027年2月(予想) | 2027年3〜8月(予想) |
|---|---|---|---|
| 営業収益(百万円) | 14,592 | 13,927 | 14,272 |
| 当期純利益(百万円) | 6,835 | 6,001 | 5,940 |
| 1口当たり当期純利益(円) | 2,715 | 2,384 | 2,359 |
| 1口当たり分配金(円) | 2,445 | 2,453 | 2,479 |
| 圧縮積立金取崩額(百万円) | 該当なし | 173 | 302 |
決算説明資料によると、年3%の分配金成長予想は積立金の取り崩しを前提としている。その上で資産運用会社は、内部成長のアップサイドや未公表の新規物件取得、追加の物件売却を通じてさらなる分配金成長を目指すとしている。一方、決算短信は、予想は分配金の額を保証するものではないとしている。また、決算短信の日付現在で保有する145物件以外に新規取得や譲渡がないこと、および両期とも期中平均稼働率が97.1%となることを前提としている。
