三菱電機(6503)は、配電制御機器事業の過半の支配権をABBに移す契約を締結した。東証上場の同社は、同事業を新設する完全子会社に移管した上で、その株式の51%をABBの日本法人に824億円(予定)で売却する。三菱電機は49%を引き続き保有する。完了は2027年10月1日を目指しており、競争法当局その他の関係当局による許認可・承認の取得が条件となる。
移管対象事業の内容
対象事業は、低圧遮断器、電磁開閉器、計測制御機器、および一般産業向けの5kVA以下の無停電電源装置(UPS)を製造しているほか、一部の高圧配電制御機器の販売も手がけている。三菱電機の報告セグメントでは「インダストリー・モビリティ」に含まれる。
新会社はこれらの製品群の開発、製造、販売、サービスを引き継ぐ。また、一部の高圧機器の販売・サービス機能や、スマートメーターの開発・製造も承継する。三菱電機の海外販売子会社が担っている販売事業は、各地域のABB現地法人へ移管する予定だ。対象事業が三菱電機の他事業と共用している権利義務については、承継対象外とするか、別途契約で取り扱う場合がある。
財務数値と譲渡価額
対象事業の2026年3月期の売上高は1022億円だった。2026年3月31日時点の資産は695億円、負債は219億円。三菱電機はいずれの数値も監査を受けていない社内管理上の数値としている。資産および負債の金額は、会社分割の効力発生時までに変動する可能性がある。
824億円という譲渡価額は予定額とされている。同社によると、対象事業の2025年度のEBITDA、合意した評価倍率、および現預金・デットライク項目等の調整を踏まえて算定した。適時開示にはEBITDAの実額も評価倍率も記載されていない。契約には価格調整条項があり、最終的な金額は変動する可能性がある。
三菱電機は2028年3月期の決算において、この株式譲渡に伴う利益約900億円を「その他の損益」に計上する見込みだ。2026年7月31日に公表した今期(2027年3月期)の業績予想には本取引の影響を織り込んでいないが、同社は同予想への影響は軽微と見込んでいる。
支配権とガバナンス体制
取引完了後、新会社はABBの連結子会社および三菱電機の持分法適用会社となる。7名で構成する取締役会は、ABBが5名、三菱電機が2名の取締役を指名する予定だ。新会社の社名、代表者、資本金、所在地は未定で、三菱電機は確定次第開示するとしている。
三菱電機は戦略的理由として、同事業の国内需要が安定していることを挙げている。一方、海外では電化の進展に伴い、需要の拡大と競争の激化がともに見込まれるとし、世界市場で戦うにはパートナーとの共同運営が必要だと判断した。
日程と条件
この会社分割は会社法第784条第2項に基づく簡易吸収分割に該当するため、三菱電機は株主総会の承認を得ずに進める予定だ。承継会社が完全子会社となるため、同社は通常の会社分割の開示項目を一部省略している。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 機関決定および契約締結 | 2026年10月20日 |
| 新会社設立 | 2026年12月1日(予定) |
| 吸収分割契約締結 | 2027年8月1日(予定) |
| 会社分割の効力発生 | 2027年10月1日(予定) |
| ABBの日本法人への株式51%譲渡 | 2027年10月1日(予定) |
株式譲渡の実行は、国内外の競争法当局その他の関係当局による許認可・承認の取得、および契約上の前提条件の充足を条件としている。
