厚生労働省は、労災補償を5年以内に請求できる疾病を定める政令案について、パブリックコメント(意見公募)を実施している。募集期限は2026年11月23日で、同省の概要資料によると2027年4月1日の施行を予定している。
対象となる疾病
同政令案は、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(2026年法律第60号)の施行に伴うものだ。同法では、事故の原因である疾病がその性質上、災害補償の事由に該当するかどうかを容易に判断できないものである場合、給付請求権の消滅時効期間が5年に延長される。政令案は、その対象となる疾病を規定する。
概要資料は3つの分類を挙げており、それぞれの詳細は厚生労働省令で定められる。
- 脳血管疾患または心臓疾患
- 精神疾患
- 石綿(アスベスト)を吸入することにより発生する疾病
3制度に共通の対象疾病
5年の時効期間は複数の請求手続きに適用される。労災保険では、療養補償給付などを受ける権利が対象となる。船員保険制度では休業手当金を受ける権利が対象となり、対象疾病は同じ3分類に準じて定められる。労働基準法では災害補償の請求権が対象となり、時間外および休日の割増賃金率の最低限度を定める現行政令の題名を「労働基準法施行令」に改めた上で、その第2条に対象疾病を規定する。
政令案のその他の改正点
政令案はまた、被災労働者やその遺族向けの援護事業のうち、労働者災害補償保険審査官および労働保険審査会への審査請求の対象となる事業も定めている。これには社会復帰、療養生活、介護、子どもの就学に関する援護が含まれる。さらに、こうした不服申し立ての対象となる処分の原処分庁に都道府県労働局長が含まれる可能性が生じたことを踏まえた改正も盛り込まれた。
今後の日程と意見提出方法
2026年12月の公布、2027年4月1日の施行を予定している。意見募集は2026年10月22日に始まり、11月23日17時に締め切られる。意見は日本語で理由を付し、電子政府の総合窓口(e-Gov)のフォーム、労働基準局労災管理課宛ての電子メール、または郵送で提出する必要がある。同省は可能な限りe-Govを利用するよう求めており、個別の回答はできないとしている。
概要資料では、新たな時効期間が係属中の請求や過去の事案に適用されるかどうかには触れられておらず、事業主の負担額の試算も示されていない。各分類の具体的な疾病は、本政令ではなく厚生労働省令で定められる。
