財務省が10月21日に発表した9月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5366億円の赤字だった。赤字は5カ月連続で、赤字幅は前年同月の2777億円からほぼ倍増した。輸出額は前年同月比16.7%増の10兆9700億円と13カ月連続で増えたが、輸入額が18.9%増の11兆5100億円と8カ月連続で増加し、輸出を上回る伸びとなった。
金額の伸びが数量を上回る
貿易統計の数量指数を見ると、赤字拡大の要因が浮かび上がる。輸出数量指数が1.9%上昇と7カ月連続でプラスとなった一方、輸入数量指数は1.6%低下と4カ月ぶりにマイナスに転じた。価格指数(2020年=100)は輸出が14.5%上昇、輸入が20.8%上昇と、さらに差が開いた。また、9月の税関長公示レートの平均値は1ドル=157円43銭と、2025年9月の147円61銭から6.7%の円安となった。これは通関時の評価に用いる統計上の平均値であり、市場の実勢レートではない。
金額ベースの伸び率は輸出入とも夏場から鈍化した。輸出は7月が23.2%増、8月が19.3%増、輸入は7月が27.9%増、8月が28.0%増だった。9月の赤字額は7月の6449億円、8月の1兆1100億円から縮小した。季節調整値では、輸出が前月比1.1%減、輸入が1.9%減となり、収支は7040億円の赤字だった。
輸出入とも半導体と燃料がけん引
輸出の伸びを品目別で最も押し上げたのは電子部品だ。半導体等電子部品は49.4%増の9337億円となり、輸出全体の伸び(16.7%増)に対する寄与度は3.3ポイントだった。自動車は15.1%増の1兆7200億円(寄与度2.4ポイント)、半導体等製造装置は43.9%増の5533億円(同1.8ポイント)だった。
輸入では、原粗油が数量ベースで3.1%増にとどまったものの、金額では51.1%増の1兆1100億円となり、輸入全体を3.9ポイント押し上げた。液化天然ガス(LNG)は数量が7.3%減少した一方、金額は39.2%増の5906億円(寄与度1.7ポイント)となった。半導体等電子部品の輸入は51.4%増の6052億円(同2.1ポイント)だった。鉱物性燃料全体では39.4%増の2兆3500億円となった。
| 地域 | 輸出 | 輸入 | 収支 |
|---|---|---|---|
| 世界 | 10兆9700億円(+16.7%) | 11兆5100億円(+18.9%) | -5366億円 |
| 米国 | 1兆9600億円(+22.9%) | 1兆5700億円(+44.8%) | +3928億円 |
| EU | 9854億円(+10.5%) | 1兆1300億円(-0.1%) | -1409億円 |
| アジア | 6兆700億円(+17.5%) | 6兆300億円(+22.2%) | +471億円 |
| 中国 | 1兆7300億円(+8.6%) | 2兆7600億円(+16.4%) | -1兆300億円 |
対米黒字は縮小、対中赤字は拡大
対米貿易黒字は前年同月比23.4%減の3928億円と、10カ月連続で縮小した。対米輸出は22.9%増の1兆9600億円となったが、輸入が44.8%増の1兆5700億円と大きく伸びた。対米輸出は自動車が31.0%増(寄与度7.1ポイント)とけん引し、医薬品(157.7%増)、半導体等製造装置(93.1%増)が続いた。米国からの輸入はエネルギーが押し上げ、原粗油が819.7%増(寄与度31.4ポイント)、LNGが541.6%増となったほか、電算機類(含周辺機器)も130.7%増えた。
対中貿易赤字は32.5%増の1兆300億円に拡大した。対中輸出は8.6%増の1兆7300億円、輸入は16.4%増の2兆7600億円だった。輸出では自動車が59.8%減の374億円と落ち込み、対中輸出の伸びを3.5ポイント押し下げた一方、半導体等製造装置は14.3%増の2252億円となった。中国からの輸入は非鉄金属(117.1%増)、半導体等電子部品(54.1%増)、重電機器(40.0%増)がけん引した。
このほか、アジア全体との貿易収支は80.2%減の471億円の黒字で、黒字は8カ月連続となった。欧州連合(EU)との赤字は1409億円と、前年同月から40.3%縮小した。
数値はいずれも名目ベースの速報値で、貿易統計の表では(P)と表記される。9月分の数値が改定されれば、正確な赤字額も変動する。対中収支は66カ月連続の赤字となり、引き続き最大の赤字要因となっている。
