国土交通省は、下水道法等の一部を改正する法律(2026年法律第65号)の施行に伴う関係政省令・告示案について意見公募(パブリックコメント)を開始した。下水道施設の健全度を5段階で評価する仕組みを導入し、点検頻度を最短3年と定めるほか、管理者に結果の公表を義務付ける。意見の受付期間は2026年10月16日から11月14日までで、案によると施行日は2027年1月12日となっている。
5段階の評価区分と各段階の措置
告示案は、評価対象の各施設を診断保留、健全度IV(緊急措置段階)、健全度III(早期措置段階)、健全度II(要監視段階)、健全度I(健全)の5つに区分する。健全度IVは、構造物の安全性が低下している、または低下する可能性が著しく高く、緊急に改築が必要な状態を指す。
特に重点的に点検すべき排水施設については、評価区分に応じた措置を求める。健全度IVでは、管理者は緊急に改築を実施して健全度Iの状態に戻さなければならない。緊急の改築が困難な場合は、改築を実施するまでの間、道路陥没などを防ぐための地盤改良などを実施する必要がある。健全度IIIでは、応急措置を講じた上で詳細な点検の頻度を増やし、改築を計画しなければならない。診断保留の施設については、まず点検方法の高度化を求め、それでも評価が困難な施設には迂回管渠や上流の貯留施設、堰の設置を求めている。
最も厳しい点検が課される管渠
別の告示案では、特定重要排水施設として扱う対象を指定している。これには、内径2メートル以上の公共下水道の管渠、最下流の合流マンホールから終末処理場までの管渠、地域防災計画に定められた緊急輸送道路の下に埋設された管渠、鉄道や軌道の線路敷地の下に埋設された管渠、河川の下に埋設された管渠、および流域下水道のすべての管渠が含まれる。
これらの施設について、省令案は複数の点検方法を組み合わせて用いることを基本としている。点検頻度は箇所によって異なる。腐食しやすいコンクリートの箇所、損傷防止措置が講じられていない管渠とマンホールの接続部、前回の点検で空洞のおそれが確認された砂質地盤の箇所(地盤改良その他の有効な損傷防止措置が講じられている箇所を除く)は、5年に1回以上の頻度で点検しなければならない。その他の箇所は10年に1回以上の点検を要する。腐食しやすいコンクリートの箇所のうち硫化水素濃度が著しく高い箇所や、これら3つの条件すべてに該当する箇所は、点検頻度を3年に1回以上に引き上げる。
政令案には構造基準も盛り込まれた。点検機器を容易に搬出入できるマンホールや、安全かつ効率的に改築・修繕・点検を行える構造とすること、さらに特定重要排水施設については迂回管渠や上流の貯留施設、堰の設置など下水の流量を調節する措置を講じることを求める。特定重要排水施設のうち特に損傷や腐食、劣化のおそれがある箇所には、センサーの設置など異状検知の効率化に資する措置を求める。また、点検に機器の遠隔操作やこれに類する情報通信技術を活用することも認める。
情報公表と収支計画
点検規定の対象となる特定重要排水施設および腐食のおそれが大きい指定施設について、管理者は各施設の位置、評価日、評価結果、予定する改築や修繕の内容を公表しなければならない。公表期限は評価を実施した年度の翌年度末までとするが、健全度IVの施設は速やかに公表する必要がある。告示案は地図上の表示色も定めており、診断保留は黒、健全度IVは赤、健全度IIIは黄、健全度IIおよびIは緑、安全性評価が未実施の施設は灰色とする。
省令案はまた、30年以上の長期的な収支を試算するよう管理者に求めている。少なくとも10年以上の収支見通しを公表し、おおむね3〜5年ごとに見直すよう努めなければならないとしている。使用料は、将来の更新工事に向けた引当金を織り込んだ原価を基に算定する。
意見の提出方法
意見は日本語で作成し、氏名、住所、連絡先を明記の上、電子メールまたは郵送で提出する。電話での意見は受け付けず、同省は個別の回答は行わないとしている。提出者の氏名は意見の内容とともに公表される場合がある。
