文部科学省がまとめたデジタルな形態を含む教科書の発行・採択に関する指針の素案では、全学年・全教科で紙とデジタルを組み合わせたハイブリッド型の教科書が中心的な役割を担うことを想定している。全てがデジタルの教科書は、一部の学年と教科に限って認める方針だ。同省は10月23日に任意のパブリックコメント(意見公募)を開始しており、提出期限は11月8日23時59分。素案は提案段階のもので、日付欄は空欄となっている。
完全デジタルが認められる範囲
素案は、小学校の低学年・中学年では全てがデジタルの教科書を認めず、小学校高学年以上に限って認め得るとしている。教科別では、外国語と一部の実技系教科(小学校高学年の音楽・図画工作、中学校の音楽・美術・技術〔技術・家庭の技術分野〕、高校の芸術〔書道を除く〕・情報・専門学科の各教科)に限定する。全てがデジタルの教科書を認めない学年・教科では、ハイブリッド型の教科書であっても主に紙で構成し、デジタルコンテンツは補助的・補完的な位置付けとする。小学校の低学年・中学年ではおおむね紙で構成するものとする。
文部科学省が採択権者を対象に実施した調査も、ハイブリッド型を基本とする方針を裏付けている。ハイブリッド型を望む回答は小学校段階で88.3%、中学校段階で86.3%、高校段階で78.4%を占めた。全てがデジタルの教科書を望む割合はそれぞれ5.5%、7.1%、4.7%だった。
発行者と採択権者への要件
文部科学省は、同一内容の教科書を複数の形態で発行することを教科書発行者に求める意図はないとしている。発行者はデジタル部分および閲覧ソフト(ビューア)について、アクセシビリティ機能や印刷・ダウンロード機能、拡散防止機能などを盛り込んだ技術的な標準仕様書に従う必要がある。検定基準は今後、教科書検定調査審議会が示す。また採択時には、連携するデジタル教材へのリンク表示など教科書以外の教材を教科書と一体として提供することを禁じるほか、採択権者向けにデジタル機能の一覧を提示するよう発行者に求める。
学校がハイブリッド型教科書の紙の部分のみを使用することは認められない。素案はネットワーク環境の整備を前提条件に掲げており、必要な通信速度を確保している学校の割合は2025年12月時点で約64%にとどまるが、2028年度までに約95%の学校設置者で確保される見込みだ。
導入スケジュール
改正法(2026年法律第37号)は2027年4月1日に施行される。デジタル部分を含む教科書は2029年度から採択が行われ、2030年度から小学校を皮切りに段階的に導入される。素案への意見は、電子政府の総合窓口(e-Gov)のフォームまたは文部科学省教科書課への郵送で受け付ける。
