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政策ウォッチ

厚労省、化学物質のラベル表示・SDS義務対象に29年4月から35物質追加へ

厚生労働省の改正案は2029年4月からラベル表示と安全データシート(SDS)交付の義務対象を35物質拡大する一方、フタル酸ジエチルを2027年2月に対象リストと濃度基準の規制から外す。意見公募は11月18日まで。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月21日3分で読める
化学物質のドラム缶や容器が並ぶ倉庫の棚。1つには白紙の危険有害性ラベルが貼られ、横にバインダーと年表が置かれている

厚生労働省は10月20日、危険有害性のラベル表示と安全データシート(SDS)の交付を義務付ける化学物質の対象範囲を広げ、フタル酸ジエチルの1物質を除外する関連4案件の意見公募(パブリックコメント)を開始した。締め切りは11月18日。4件とも案の段階であり、決定した規則ではない。

追加される物質

中核となるのは労働安全衛生法施行令の改正案だ。危険性または有害性があると区分された物質の基準日を従来の2025年3月31日から2026年3月31日に改め、2025年度までに国が実施した分類結果を義務対象物質のリストに反映させる。分類は、国連の「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」に基づく日本産業規格Z7252による。

これに伴う労働安全衛生規則の改正案で、具体的な物質名を規定する。概要の別表には、トリエチレングリコールや天然ゴムなど追加対象の35物質が列挙されている。削除されるのはフタル酸ジエチルの1物質のみ。別表によると、CAS番号は参考として示すもので、義務対象物質に該当するかどうかの判断は物質名で行う。名称変更も盛り込まれており、注記によれば、既存の対象物質に水酸化リチウム一水和物と2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩を追加し、非繊維状の炭化けい素を削除する。

法令により異なる施行期日

改正政令は2027年2月に公布、2029年4月1日に施行される予定だ。新たに対象リストへ追加される物質のうち、施行日に現に存在するものは、追加後1年間はラベル表示義務が適用されない。概要ではこの経過措置をラベル表示のみとしている。改正省令も公布・施行日は同じだが、フタル酸ジエチルの削除と名称変更のうち2件(炭化けい素とメタほう酸バリウム)は公布日に施行される。

改正案と予定期日
厚労省の概要資料による。いずれも2026年11月18日まで意見公募中の案で、期日は予定
法令等改正案の内容公布・告示予定施行・適用予定
政令分類の基準日を2025年3月31日から2026年3月31日に変更2027年2月2029年4月1日
省令35物質を追加、フタル酸ジエチルを削除、名称変更2027年2月2029年4月1日(削除と名称変更2件は公布日)
裾切値告示別表第1・第2の項目を改正2027年2月2029年4月1日
濃度基準値告示フタル酸ジエチルと基準値を削除2027年2月告示日
技術上の指針フタル酸ジエチル、試料採取・分析方法、基準値を削除2027年2月公示日

裾切値と濃度基準値

3件目の案は、対象物質を含有する混合物がラベル表示・SDS交付義務の対象外となる含有量の基準(裾切値)を定める厚労省告示を改正するものだ。同告示の別表第1と別表第2の項目を見直す。新旧対照表にはアンチモン、鉛、砒素、弗素の各化合物のほか、ジシクロヘキシルアミン、炭化けい素、ペンタクロロフェノールなどの変更が示されており、0.1%、0.3%、1%の基準値が記載されている。2027年2月に告示、2029年4月1日に適用される予定だ。

残る2件の案はフタル酸ジエチルの削除に伴うものだ。1件は、304物質の濃度基準値を定める厚労省告示からフタル酸ジエチルとその基準値を削除する。もう1件は、濃度基準値の適用に関する技術上の指針から、同物質と試料採取方法・分析方法を削除する。いずれも2027年2月に告示・公示され、同日付で適用される予定だ。このため、フタル酸ジエチルは新規追加物質にラベル表示義務が課されるよりも大幅に早く濃度基準の規制対象から外れることになる。

意見提出の手続き

厚労省は、電子政府の総合窓口(e-Gov)、電子メール、郵送のいずれかで、理由を付した日本語の意見のみを受け付ける。意見募集要領では、寄せられた意見に対して個別の回答はしないとしている。