国土交通省航空局は、航空会社に対する計画的監査の標準的な実施頻度を廃止し、各社の安全リスクプロファイルに基づいて監査の頻度、手法、重点事項を事業者ごとに設定する方針案を示した。「航空運送事業等の安全監査に関する基本方針」の一部改正案と、計画的監査の実施計画の新たな策定方針案について、2026年10月15日から11月13日まで意見を募集している。
削除される内容
現行の基本方針は、計画的監査の目安となる頻度を定めている。本社は年4回、主基地と基幹基地は年2回、地方基地は4年に1回、訓練所は2年に1回だ。改正案はこれらの数値を削除し、計画の策定方法は別の方針に委ねる。
国交省は、この変更を航空安全プログラム(2026年国土交通省告示第512号)が定めるリスクベース監視の考え方に基づくものと位置づけている。
代わりに導入される内容
新たな策定方針は、特定本邦航空運送事業者を対象とする。航空局は、運航の規模や範囲、業務の複雑性、使用する航空機の特性に基づいて各事業者をセクターに分類する。その上で、11項目の安全リスクプロファイルで各事業者をスコア化する。
項目には、財務的健全性、運航年数、説明責任役員と安全管理責任者の交代率、両者の能力、過去の監査結果、過去の指摘事項の解決の迅速さ、相対的な活動レベル、ハザード特定プロセスの成熟度、国の安全データ指標などが含まれる。スコア、その推移、セクター内の平均スコアとの比較を、実施計画の策定に用いる。
各計画には、対象事業者、頻度と実施予定時期、監視活動の種別(無通告の実地立入検査、オンライン監査、書面審査を含む)、対象とする機能や施設を盛り込む。航空局はプロファイルに必要なデータの提出を事業者に求めることができ、求める内容と時期は別途指示する。
事後対応の義務
改正案は、立入検査後の対応も変える。航空局は、安全上の基準への不適合とは認められないものの、事業者に改善の検討を求めることが適当と判断した場合、「要検討事項」として通知できる。立入検査で判明した不適合事項が直ちに是正されない場合、事業者は一定期間内に是正措置計画を提出しなければならない。担当官は計画の適切性を評価し、必要に応じて補正を求め、書面審査や再監査などで実施状況を確認し、完了するまで追跡する。現行の方針は、担当官がその都度改善を求めると定めるだけだ。
改正案は、監査結果や是正措置の記録の電子的な保存・管理、および安全データ・安全情報の保護に関する規定も追加する。
適用時期と留意点
いずれの方針も案の段階だ。両方とも2026年11月26日の適用を予定しており、改正案は2026年度の監査については従前の例によるとしている。改正案は固定の実施頻度を削除するが、新たな計画の下で各事業者が受ける監査の回数は示していない。また、必要と認めた事業者について、所管課長が監査の実施時期を早めたり頻度を高めたりできる権限は維持する。
