観光庁のインバウンド消費動向調査(1次速報)によると、7〜9月期の訪日外国人旅行消費額は前年同期比3.2%増の2兆2076億円と推計された。旅行者数は減少したものの、消費額の総額は増加した。
旅行者減でも消費単価は上昇
クルーズ客を除く訪日外国人である一般客の1人当たり旅行支出は6.1%増の約23万4000円となった一方、一般客数は2.1%減の942万5000人となった。一般客の旅行消費額は3.9%増の2兆2023億円だった。クルーズ客を含めた訪日外国人旅行者数は4.8%減の964万5000人だった。
クルーズ客は逆の動きとなり、落ち込み幅も大きく、旅行者数は56.2%減の22万人、消費額は71.0%減の53億円だった。観光庁は、2026年のクルーズ調査では十分な標本数を必ずしも確保できていないため、数値の扱いには留意が必要としている。全体、一般客、クルーズ客の伸び率はそれぞれ母集団が異なるため、同一の系列として扱うべきではない。
中国が縮小、韓国・台湾が補う
人数と金額の乖離は国・地域別で最も鮮明に表れている。消費額は台湾が3818億円(26.2%増)で最大となり、中国が3583億円(39.8%減)、韓国が2938億円(45.8%増)、米国が2409億円(9.1%増)、香港が1555億円(37.1%増)で続いた。
| 国・地域 | 消費額 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 台湾 | 3818億円 | +26.2% |
| 中国 | 3583億円 | -39.8% |
| 韓国 | 2938億円 | +45.8% |
| 米国 | 2409億円 | +9.1% |
| 香港 | 1555億円 | +37.1% |
中国の消費額構成比は2025年同期の27.8%から今期は16.2%に低下した。中国の一般客数は49.8%減の121万1000人だったが、1人当たり旅行支出は22.1%増の約29万4600円となった。韓国は対照的で、旅行者数は28.7%増の257万6000人に伸びたものの、1人当たり旅行支出は約11万4000円だった。同調査によると、台湾は1人当たり旅行支出が約19万9000円、旅行者数は15.5%増の190万4000人だった。
1人当たり旅行支出が最も高かったのはフランスの約42万3000円で、メキシコ(41万4000円)、北欧(40万7000円)が続いた。
費目別の内訳
費目別の構成比は、宿泊費が35.2%(7778億円)、買物代が27.7%(6109億円)、飲食費が22.9%(5058億円)となった。前年同期と比べると、買物代の構成比が25.7%から上昇し、交通費の構成比も微増した一方、娯楽等サービス費は4.9%から4.3%に低下した。買物代では引き続き中国が際立っており、同庁によると中国人旅行者の1人当たり支出では買物代が最大の費目で、買物代の総額は1438億円だった。
調査上の留意点
2026年調査からメキシコ、北欧、中東が調査対象として個別区分に追加された。それ以前は「その他」に含まれていた。観光庁は比較の際には留意するよう呼びかけており、「その他」の消費額が16.7%減となった点を見る上でも重要となる。今回の推計は1次速報値であり、日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数と前年の出入国管理統計の出国者数をウェイトとして用いて集計されている。同庁は今後の公表分でウェイトを更新する。また、今回の発表資料では国・地域別の消費額が変動した要因については説明されていない。
