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IAIS議長、保険会社のプライベート・クレジット投資はなお限定的 急拡大ならリスク増も

IAIS執行委員会議長の三好敏之氏が寄稿。生保のオルタナティブ資産・資産集約型再保険への投資は世界の金融安定への短期的脅威は小さいとし、IAISは基本原則を見直すと表明

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月14日3分で読める
連なったブロックが天秤に載り、1つのブロックが外れてネットワーク状のノードに波紋を広げる抽象的なイラスト

保険監督者国際機構(IAIS)の執行委員会議長を務める三好敏之氏は、生命保険会社のプライベート・クレジットなどオルタナティブ資産への投資残高は小さく、世界の金融安定に対する短期的なリスクは「比較的小さい」との見方を示した。三好氏は金融庁の金融国際審議官も務める。寄稿は2026年9月15日発行のEurofiマガジンに掲載され、金融庁が10月13日に公表した。

現時点の規模は小さいが、拡大には留意

三好氏は、世界の保険セクターによるオルタナティブ資産と資産集約型再保険(AIR)へのエクスポージャーは現状「限定的」だと指摘する。一方、これらの分野が急速に拡大すれば、時間の経過とともにリスクが高まり得るとも述べる。変化の背景として、保険会社が高格付けの債券や株式から、プライベート・エクイティー、不動産、インフラ、ヘッジファンド、プライベート・デットへと投資対象を広げていることを挙げる。この傾向は金利が上昇した後も続いており、退職後に備えた資産形成の機能を備えた保険商品への需要が追い風になっているという。

プライベート・クレジットの魅力として、高い利回り、分散効果、流動性リスクプレミアム、資産と負債のより適切なマッチングを挙げる。リスクとしては、評価の不確実性、流動性の低さ、複雑性に加え、隠れたレバレッジ、利益相反、信用格付けの信頼性、資本面の考慮事項、情報の不足を列挙している。

ストレスはどう波及するか

三好氏は、波及経路として3つを挙げる。1つ目はストレス下での保険会社による資産の強制売却で、契約者行動に伴う流動性需要への対応を含む。2つ目は保険会社の貸出市場からの急速な撤退。3つ目はAIRの大規模な再取り込みで、保険会社のポートフォリオが市場全体で再調整される事態を招きかねない。同氏は、オルタナティブ資産市場を通じた生保会社と他の金融機関とのつながりが強まり、波及リスクが生じていると指摘する。この市場でのレバレッジの利用や、多額のオルタナティブ資産を裏付けとするAIR取引が少数の法域の少数の保険会社に集中していることが、リスクを増幅し得るという。

IAISの取り組み

IAISは2021年からこうした動向を監視している。過去1年には、2025年の「グローバル・モニタリング・エクササイズ」でプライベート・クレジットを主題に取り上げたほか、要因、リスク、監督上の対応をまとめたイシューズ・ペーパーを作成した。同エクササイズの結果は金融安定理事会(FSB)に定期的に報告しており、国際通貨基金(IMF)、FSBと業種横断の対応に向けて連携している。

三好氏は3つの取り組みを示した。IAISは今年、プライベート・クレジットを含む生命保険の構造変化について、システミックリスクの分析を強化する。監督当局に実務的な指針を示すため、オルタナティブ資産とAIRに関するアプリケーション・ペーパーを作成中だ。さらに、保険基本原則を見直し、特定された不備に対処する。寄稿には、投資残高の数値も、アプリケーション・ペーパーの公表時期や原則見直しの時期も示されていない。金融庁の発表は、寄稿を構造変化、関連するリスク、IAISの取り組みの概要と紹介するにとどめている。