ヒューリック(3003)は、すでに保有するリソー教育グループ(4714)株8688万5599株(所有割合50.87%)に加え、学習塾・幼児教育事業を手がける同社の残る全株式を1株295円で買い付ける。公開買付けの期間は2026年10月14日から11月26日まで(30営業日)で、買付予定数に上限はない。目的は完全子会社化で、支配権の獲得ではなく残る株主からの株式取得となる。
買付価格とその決定経緯
買付価格は10月9日の終値209円に41.15%のプレミアムを上乗せした水準で、過去1カ月、3カ月、6カ月の終値平均に対してはそれぞれ40.48%、43.20%、46.77%上回る。ヒューリックは9月1日に240円で提示を始めた。リソー教育の特別委員会は6回にわたり価格の引き上げを求め、ヒューリックは4回引き上げた。ヒューリックは295円を最善かつ最終の提案としている。
この価格は、ヒューリックが支配権を取得した2024年の公開買付けでの320円を25円下回る。ヒューリックは、株価水準が低いことと、プレミアムが小さいこと(前回は46.79%)が差の理由だとしている。リソー教育の取締役会は、295円は財務アドバイザーによる市場株価法と類似会社比較法のレンジの上限を上回り、DCF法のレンジ(170円から354円)の中央値も超えていると説明している。同アドバイザーは、この価格が一般株主にとって財務的見地から妥当である旨のフェアネス・オピニオンも出した。ヒューリックは自社のアドバイザーからフェアネス・オピニオンを取得していない。
少数株主に拒否権なし
買付予定数の下限は2664万6601株(基準株式数に対する割合15.60%)。ヒューリックの保有株式と、リソー教育グループの取締役が持つ譲渡制限付株式を合わせて、株式併合に株主総会で必要となる議決権の3分の2に達するよう設定した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1株当たり価格 | ¥295 |
| 買付期間 | 2026年10月14日から11月26日まで(30営業日) |
| 買付予定数の下限 | 2664万6601株(15.60%) |
| 買付予定数の上限 | 上限なし |
| 最大買付代金 | 247億6000万円(自己資金) |
| 決済開始日 | 2026年12月3日 |
ヒューリックは、外部株主の過半数の応募を条件とする、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を付けなかった。同条件は成立を不確実にし、売却を望む株主に不利益となる恐れがあるとしている。特別委員会は、ヒューリックにこの条件の検討か価格のさらなる引き上げのいずれかを求めていた。リソー教育の第2位株主である学校法人(保有割合6.05%)は、前提条件なしで全株を応募することで合意している。
上場廃止と配当
公開買付けが成立して決済され、ヒューリックの議決権比率が90%以上になれば、残る株主に株式の売り渡しを請求する方針だ。90%未満なら、リソー教育に株主総会の開催を求めて株式併合の承認を諮る方針で、ヒューリックは現在、2027年2月中旬の開催を目指している。いずれの手続きでも同じ295円が現金で支払われ、その後に東証プライム市場での上場廃止となる。これらは計画段階で、実施済みではない。
別途、リソー教育グループは公開買付けの成立を条件に、2027年2月期は配当を実施しないと発表した。従来の予想は1株10円で、前期と同額だった。中間配当の予定もない。ヒューリックはリソー教育グループに対し、買付価格は中間配当も期末配当も実施されないことを前提にしていると伝えた。
ヒューリックが示す狙い
ヒューリックは、完全子会社化によって意思決定が速まり、教育に特化した子ども向けビルでの協働が深まるとしている。同ビルは2029年までに20棟へ拡大する計画だ。また、2026年7月に運営会社を買収した東大受験指導専門塾にも言及している。親子上場の見直しを求める資本市場からの圧力の高まりを、今回の取引の契機に挙げている。
リソー教育グループの取締役会は、取締役7人のうち6人が採決に参加し、公開買付けに賛同した。残る1人はヒューリックの取締役を兼ねており、審議・決議に加わらなかった。監査役4人全員が異議がない旨の意見を示した。ヒューリックは自己資金で賄う予定だ。ヒューリックの保有分以外の全株式が応募された場合の最大費用は247億6000万円で、決済は12月3日から始まる。
