本文へ移動

金融プロフェッショナル向けに、日本の市場・ビジネス情報を平日夕方に配信。

無料登録
Tokyo BriefTokyo Brief 日本語版日本のビジネスニュースを、夕方に総まとめ。

政策ウォッチ

金融庁の保険指針案、企業内代理店の規制を2030年から強化

金融庁の監督指針改正案は、古い損害保険代理店への特例を2030年4月から廃止し、関係者基準を2032年4月から拡大する。手数料が保険料の割引に当たらない代理店は適用除外とする。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月14日3分で読める
親会社、企業内保険代理店、保険会社を線で結び、手数料の線にゲートを置いた抽象図

金融庁は、保険会社向けの総合的な監督指針の改正案をまとめた。保険契約を取り扱う先の企業が保有する、または同企業と密接な関係にある仲介業者である企業内代理店について、規制を厳しくする内容。2026年9月11日に案を公表し、パブリックコメントは10月13日17時に締め切られた。金融庁は、パブリックコメント終了後、所要の手続きを経て指針の適用が始まるとしている。

改正案の変更点

金融庁は、企業内代理店を、保険業以外の事業を営む企業と人的または資本的に密接な関係を持つ代理店と説明している。こうした代理店は、主に同企業のグループ向けの火災保険や賠償責任保険などのほか、グループ従業員向けの福利厚生保険を扱う。金融庁は、こうした代理店は保険募集の実務能力が不十分でも、グループ向け契約に対する損害保険会社からの手数料収入で存続できる場合があると指摘している。さらに、この手数料が実質的な保険料の割引に当たる可能性もあるとしている。

現行の監督指針は、「特定契約」が取扱保険料の5割を超える場合、関係者向けの保険募集を主たる目的とする代理店とみなしている。改正案はこの基準を維持する一方、計算の対象と適用除外の扱いを変える。現在は経過措置により、1996年3月31日以前に登録され一定の条件を満たす代理店では、計算対象が自動車・火災・傷害保険に限られている。改正案はこの措置を廃止し、全種目が対象になる。

改正案は関係者の定義も広げ、代理店の議決権の50%超を直接または間接に保有する者と、その子会社を含める。

企業内代理店規制の適用スケジュール案
各措置は代理店の事業年度ごとに適用され、表示の月以後に最初に始まる事業年度から適用される。出典:金融庁の改正案概要。
措置適用開始変更内容
経過措置の廃止2030年4月関係者基準の対象が火災・自動車・傷害に限らず全種目に
適用除外の枠組み2030年4月手数料と独立性の要件を満たす代理店は適用除外
関係者の範囲拡大2032年4月議決権の50%超の保有者まで範囲を拡大

条件付きの適用除外

改正案は、二つの要件を満たす代理店を対象とする適用除外を設ける。一つ目は、特定契約の手数料が保険料の実質的な割引・割戻しを生じさせないこと。二つ目は、十分な実務能力と親会社からの独立性を備えていること。具体的には、自ら特定契約を把握・管理・報告でき、独占禁止法の遵守態勢を持ち、三線管理によるリスク管理を行っていることを指す。

改正案の仕組みでは、代理店が代申会社に原価を決算書などの根拠とともに報告し、代申会社がその原価を上回らない手数料を算出する。代申会社は続いて、金額と算出根拠を代理店に説明し、妥当性を検証する。改正案はまた、保険仲立人が顧客のみから媒介手数料を受け取る契約も適用除外とする。

金融庁は、オフサイト・モニタリングや報告徴求を通じて、特定契約の取扱状況を把握する。重大な問題があると認めた場合は、行政処分を行うと改正案は定めている。

改正案の全体像

金融庁は、改正案を2024年6月の有識者会議の報告書と、2024年12月の金融審議会ワーキング・グループの報告書に結びつけている。改正案はこのほか、次の点を盛り込んでいる。

  • 保険会社と代理店は、独占禁止法の遵守態勢を整える必要がある。改正案は過去の保険料調整事案に言及しており、共同保険を組成する保険会社は、まずその必要性を検証しなければならない。
  • 損害保険会社は、割引・割増の運用を含め、企業向け保険料率が十分かつ公平かを確認する管理態勢の枠組みを定める必要がある。
  • 代理店の支店ごとの別個登録は廃止される。

公表資料は、最終版の指針の時期を示していない。