企業会計審議会の監査部会は2026年10月16日、監査基準の改訂公開草案を公表し、意見募集を始めた。草案が扱うのは、継続企業の前提(企業が将来にわたって事業活動を継続するとの前提)と不正の2テーマ。基準本文の変更につながるのは前者のみ。
見通し期間の長期化
現行の実務では、監査人は経営者による継続企業の前提の評価と対応策について、決算日から少なくとも1年間の合理的な期間を対象に検討する。草案は、財務諸表の公表の承認日後少なくとも1年間の評価を求める。草案は、より先まで見ることで監査済み財務諸表の意思決定有用性が高まり、改訂された国際監査基準にも近づくとしている。
草案は、企業会計基準委員会が継続企業に関する会計基準を開発中で、経営者自身の評価期間も同じ基準で定めることが検討されていると指摘している。適用される企業会計の基準が承認日を定義している場合、監査人はその定義に従う。定義がない場合は、監査人が適切に判断する。
問題がない場合も報告書に区分を設ける
現在、監査報告書に継続企業に関する独立した区分を設けるのは、重要な不確実性が認められる場合に限られる。草案はこの要件を維持したうえで、重要な不確実性が認められない場合にも独立した区分を設けるとしている。新旧対照表では、改訂案の文言が両方のケースに適用され、監査人は経営者の評価を検討したうえで継続企業に関する事項を記載する形になっている。
上場会社の監査では、草案は、監査人が経営者の評価をどう検討したかの説明も求める。対象となるのは、報告書で重要な不確実性を記載する場合と、重要な不確実性は認められないと記載するものの、経営者がその結論に至るうえで重要な判断を行っている場合。草案は、この説明に当該監査に固有の情報を盛り込むことを想定しており、不確実性を報告する場合は継続企業の前提に関する注記を参照するとしている。
不正:基準は変更せず
部会は、不正に関しては、監査基準と別の不正リスク対応基準のいずれも改訂は不要と結論付けた。理由は、改訂された国際基準が新たに設けた対応を、両基準が既に含んでいるためだとしている。不正または不正の疑いを識別した場合の手続と、不正に関連する監査上の主要な検討事項への明確な見出しの2点は、実務の指針で対応する方針。
意見募集の期限と日程
意見は2026年11月16日(月)17時までに、郵送またはe-Govのウェブサイトで受け付ける。改訂基準は2028年3月期決算に係る財務諸表の監査から適用する案。草案は関係法令も所要の整備を行うことが適当だとし、日本公認会計士協会には実務の指針を早急に作成するよう求めている。
これらは意見募集のための提案で、審議会が改訂文を採択するまでは何も確定しない。
