ENEOSホールディングス(5020)は、ゴールドマン・サックスの持分を買い取り、道路舗装会社のNIPPOを完全子会社化することで合意した。2026年10月23日開催の取締役会で、NIPPOの全株式を保有するロードマップ・ホールディングス(RMH)の発行済株式の65%を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結した。
売主と保有比率の内訳
売主は、ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インクが間接的に保有する特別目的会社2社で、RMH株をそれぞれ59.5%と5.5%保有している。ENEOSは残る発行済株式の35%(議決権比率50.1%)を保有し、すでにRMHを連結子会社としている。今回の取得により、ENEOSはRMHを100%保有し、RMHを通じてNIPPOも100%保有することになる。
ENEOSによるRMH株35%は直接保有であり、開示資料ではRMHを通じたNIPPO株の35%間接保有とも記載されている。株式譲渡の実行は2026年11月中の予定で、取得価額は公表されていない。
| 株式の種類 | ENEOSの異動前所有分 | 今回取得分 | ENEOSの異動後所有分 |
|---|---|---|---|
| 普通株式 | 150,300,000(同種類株の50.1%) | 149,700,000(同種類株の49.9%) | 300,000,000 |
| 無議決権株式 | 59,700,000(同種類株の19.9%) | 240,300,000(同種類株の80.1%) | 300,000,000 |
| 発行済株式合計 | 35.0% | 65.0% | 100% |
完全子会社化の背景
ENEOSは2021年、親子上場の解消とガバナンス強化を目的にNIPPOを非公開化した。当時はゴールドマン・サックスとの共同保有のもとで運営し、将来的な再上場を目指すことを基本方針としていた。しかし同社は今回、事業環境や成長戦略が変化したと説明している。脱炭素化の進展が当初想定より緩やかになる可能性を見据え、基盤事業の収益力強化や早期に収益貢献が見込める事業をより重視する方針に転じたことを挙げている。
最大の理由はアスファルト事業にある。ENEOSは燃料油や基礎化学品の連産品としてアスファルトを生産し、NIPPOはそれを原料にアスファルト合材の製造や道路舗装を手掛けている。ENEOSにとってアスファルトの安定生産はエネルギー供給や製油所の稼働を支えるうえで重要であり、一方のNIPPOも競争力のある原料調達を必要としている。さらに近年は輸入アスファルトとの競争が激化しているという。完全子会社化により、この双方の要請を両立させてサプライチェーン全体で創出される価値をグループ内に取り込むとともに、アスファルト素材の共同開発も可能になるとしている。
ENEOSはこのほか2つの領域を挙げている。グループの遊休地などの資産に対するNIPPOの土壌改良・建築ノウハウの活用と、道路インフラ需要の持続的な拡大が見込まれる東南アジアにおけるNIPPOの海外事業基盤との連携だ。
業績への影響
ENEOSは、本取引による今年度の業績への影響は軽微と見込んでいる。添付の説明資料では、通期(12カ月)ベースでの参考試算を示している。NIPPOはすでに連結子会社であるため、同社の営業利益貢献額は412億円で変わらない。一方、NIPPOによる親会社の所有者に帰属する当期利益の貢献額は、2026年3月期実績の107億円から172億円増加し、279億円となる。ENEOSはこれらの数値を業績予想ではなく参考値と位置付けている。
2026年3月末時点におけるNIPPOの純資産は3121億円、総資産は5014億円だった。
