農林水産省は、ネオニコチノイド系殺虫剤ジノテフランのミツバチへの影響に関する評価書案について、意見募集を始めた。評価書案は、申請された使用方法とリスク管理措置の下で使用される場合に限り、同剤が蜂群の維持に支障を及ぼす可能性は低いと結論づけている。受け付けは2026年10月15日から11月13日までで、郵送も締め切り日必着。同省は今回の募集を、行政手続法に基づく手続きではなく任意の意見募集と位置づけている。
評価書案の結論
農林水産省によると、農薬取締法は、農薬の登録や変更登録などについて、農林水産大臣が農業資材審議会の意見を聴くよう定めている。ミツバチへの影響に関する事項は専門の農薬蜜蜂影響評価部会で検討され、同部会は2026年9月10日の第22回会合で今回の評価書案を了承した。評価書案の対象は93製剤で、申請者名も記載されている。同省は、寄せられた意見を考慮したうえで最終的な内容を決めるとしている。
評価書案が結論に至る過程
評価書案は、ミツバチに関する4つの毒性指標値を設定している。
| 生育段階と暴露方法 | 試験 | 値 |
|---|---|---|
| 成虫・単回接触 | 48 h LD50 | 0.062 µg ai/bee |
| 成虫・単回経口 | 48 h LD50 | 0.013 µg ai/bee |
| 成虫・反復経口 | 10 d LDD50 | 0.010 µg ai/bee/day |
| 幼虫・経口 | 72 h LD50 | 3.3 µg ai/bee |
成虫の接触毒性と経口毒性のLD50値がいずれも1頭当たり11µg未満のため、評価書案は注意事項が必要だとしている。第1段階評価は死亡率10%までを許容範囲とし、その水準の代わりにリスク比(RQ)0.4以下を用いる。
使用量の少ない製剤や、キャベツ、レタスなど開花前に収穫する作物、かんしょ、茶など開花しない作物といった一部の適用は、ミツバチが全く暴露しないと判断された。一方、閉鎖系施設栽培での使用や開花期終了後の使用など、条件付きでのみ認められる適用もある。
使用制限が必要となる適用
わさびの育苗期の散布では、スクリーニングでのリスク比が0.4を超えた。評価書案は、代表作物としたかぼちゃの残留データで精緻化し、リスク比は0.4以下となった。きゅうり、メロン、とうがらし類などの土壌処理でも、精緻化によりすべての使用で0.4以下となったが、ピーマンととうがらし類には使用量の制限が必要となる。
稲とイネ科牧草は、第2段階の蜂群への影響試験の対象となった。評価書案によると、米国で実施された2件のトンネル試験では、成虫の死虫数にも蜂群強度にも影響は認められなかった。ただ、1件目ではトンネル内の死虫数が対照区と有意に異なり、算出された死虫率は1.8%だった。イネ科牧草には、10アール当たり150リットルを超えて使用する場合は開花前に収穫する、との条件が付く。
評価書案は、帰巣飛翔や嗅覚学習などの行動への影響を調べた研究を、評価の対象から外した。蜂群の維持に著しい影響を及ぼすことを示すものではなく、蜂群レベルでの悪影響との関連を示す知見もないとしつつ、行動異常に関する新たな知見の把握は引き続き必要だとしている。この結論は、ミツバチ影響評価における蜂群の維持についてのものに限られる。
意見の提出方法
意見は日本語に限り、氏名、住所、連絡先の記載が必要。寄せられた意見は、個人情報を除いて公表される可能性がある。同省は電話での意見は受け付けず、個別の回答もしない。
