2026年10月28日に開催予定の多重債務に関する新たな懇談会の資料に引用された司法統計によると、国内の自己破産件数は2024年の7万6309件から2025年には8万3100件へ増加した。同懇談会は規則制定機関ではなく議論の場であり、開催案内には現状と施策動向の説明に続く意見交換のみが議題として掲げられている。(Tokyo Briefの過去の関連記事)
2012年設置の懇談会の後継組織
懇談会は金融庁と消費者庁が共催し、2012年に設置され計23回開催された有識者懇談会の後継となる。金融担当相を本部長として2006年に設置された多重債務者対策本部は2007年を最後に開催されておらず、所期の目的を達成した他の閣僚会議とともに2026年1月20日の閣議決定に基づき廃止された。両庁は、多重債務をめぐる状況を踏まえれば常設の検討の場が引き続き必要だとしている。運営要領案では会議を公開とし、議事録と資料の公表を義務付けている。
各種指標が示す現状
弁護士会の委員会委員の提出資料によると、自己破産件数は2022年以降毎年増加している。個人再生件数も2023年の9440件、2024年の1万524件に対し、2025年は1万1415件となった。同委員は増加の要因として所得の伸びを上回る物価上昇を挙げ、これは私見だとしている。
その他の指標はまちまちだ。財務局に寄せられた相談件数は2024年の6552件から2025年には7104件に増えた。地方自治体の相談件数は2万9429件から2万7972件に減ったが、回答した市区町村数が前年の1025に対し2025年は942にとどまるため、単純比較はできない。厚生労働省が引用した信用情報機関のデータでは、無担保無保証の借入れが3件以上ある人は2026年2月末時点で約153万人だった。
貸金業者の業界団体である日本貸金業協会が2026年3月期に受け付けた相談件数は1万334件と、前年度から1020件減少した。一方、ヤミ金融・違法業者に関する相談は今年度上半期に116件と、前年同期の93件から増加した。全国銀行協会によると、加盟107行の銀行カードローン残高は2026年3月末時点で3兆7000億円だった。この数値と貸金業者の貸付残高は集計対象が異なる。
提示された提案
各委員は提出資料を通じて具体的な見直しを求めた。弁護士会の委員会委員は、時効が成立した債権について貸金業者や債権回収会社がどの程度回収しているかの実態調査と、そうした回収に関する監督指針の策定を求めた。日本司法書士会連合会の代表者は法務省に対し、債権管理回収業者に関する苦情窓口の明確化と、時効期間経過後の債権回収に関する調査の継続を要請した。これらはいずれも委員からの要望であり、会議資料には新たな貸出規制は盛り込まれていない。
