ルネサスエレクトロニクス(6723)は、SiTimeへのタイミング事業の譲渡完了に伴い、7〜9月期に4503億円の譲渡益を計上した。これにより、2026年1〜9月期の国際財務報告基準(IFRS)の営業利益は前年同期の1339億円から7580億円に拡大した。取締役会は2026年2月5日に譲渡を決議し、同年7月1日に完了した。譲渡益はその他の収益に計上されている。売上収益は27.3%増の1兆2300億円となった。
譲渡益が業績数値に与える影響
第3四半期単独では、IFRSの売上収益が4359億円、営業利益が5653億円だった。決算説明資料によると、IFRSの営業利益率は129.7%となったのに対し、同社独自のNon-GAAPベースでは営業利益が1505億円、営業利益率が34.6%だった。
Non-GAAPはルネサス独自の指標だ。企業買収に伴う償却額や株式報酬費用、同社が控除対象とする一過性の項目を除外している。また、タイミング事業の2月から譲渡日までの業績と譲渡益も除外している。第3四半期の親会社の所有者に帰属する利益は、IFRSベースが3722億円、Non-GAAPベースが1250億円だった。同四半期にはWolfspeedに関連する449億円の評価損失も計上されたが、決算説明資料ではNon-GAAPの除外項目に含まれている。
| 指標 | IFRS | Non-GAAP |
|---|---|---|
| 第3四半期営業利益 | 5653億円 | 1505億円 |
| 1〜9月累計営業利益 | 7580億円 | 4087億円 |
| 第3四半期親会社の所有者に帰属する利益 | 3722億円 | 1250億円 |
| 1〜9月累計売上収益 | 1兆2300億円 | 1兆2100億円 |
調整後指標が示す需要動向
第3四半期のNon-GAAP売上収益は4352億円と、前年同期比30.2%増、第2四半期比7.4%増となり、同社の予想レンジ中央値を1.2%上回った。為替および一過性の影響を除いた増収率は22.3%だった。ドル円の平均レートは前年同期の146円に対し161円と、円安も増収に寄与した。
業績を牽引したのは産業・インフラ・IoT向け事業だ。売上収益は2438億円で、前年同期比46.4%増、前期比12.7%増となった。1〜9月累計では41.1%増となり、ルネサスは主にデータセンター向け需要の増加と産業・IoT市場の回復によるものとしている。自動車向け事業の売上収益は1895億円で、前年同期比19.3%増、前期比1.3%増だった。1〜9月累計の15.4%増について、同社は需要増加と昨年実施した流通在庫調整の反動を要因に挙げている。セグメント比較には、タイミング事業を「その他」に組み替えた遡及修正後の過去数値が用いられている。
Non-GAAPの売上総利益率は59.4%と、前年同期比1.8ポイント上昇した。営業利益率は34.6%だった。1〜9月累計のNon-GAAP営業利益は46.5%増の4087億円、営業利益率は33.7%となった。
業績見通し
ルネサスは単独の通期予想を開示していない。通期の数値は、1ドル=158円、1ユーロ=183円の想定為替レートのもと、1〜9月期実績に第4四半期の見通しを加算したものだ。これによるNon-GAAPの売上収益は1兆6600億〜1兆6700億円(25.8〜27.0%増)、売上総利益率は58.6%、営業利益率は33.2%となる。前期の営業利益率は29.3%だった。開示資料には比較対象となる従来の予想は記載されていない。
決算説明資料によると、第4四半期単独の予想はNon-GAAPの売上収益が4540億円(プラスマイナス75億円)、売上総利益率が58.0%、営業利益率が32.0%となっている。営業利益率は第3四半期の34.6%を下回る。想定為替レートは第3四半期より4円円高の1ドル=157円で、ドルが1円変動すると四半期の売上収益は22億円、営業利益は11億円変動する。
事業譲渡により手元資金も増加し、現金及び現金同等物の残高は2025年末の2959億円に対し、9月末時点で6372億円となった。
