法務省と厚生労働省は2026年10月27日、MANPOWER LTD協同組合(広島県福山市)について、複数の傘下実習実施者に対し法令の基準に基づく監査を実施せず、事実と異なる監査報告書を外国人技能実習機構に提出したとして、監理団体の許可を取り消した。同日の発表資料には、別の監理団体2団体と実習実施者4者に対する計6件の行政処分も盛り込まれており、それぞれ個別の処分理由が示されている。
許可取消し
許可取消しは技能実習法第37条第1項第1号および第4号に基づく。両省によると、同組合は複数の傘下実習実施者に対し法令の定める基準に基づく監査を実施せず、事実と異なる内容を記載した監査報告書を提出した。発表資料には同組合の代表理事の氏名が記載されているが、影響を受ける実習実施者や技能実習生の数は示されていない。
監理団体2団体に改善命令
岐阜県岐南町の協同組合は、同法第36条第1項に基づく改善命令を受けた。両省によると、傘下実習実施者に対し法令に従った適切な技能実習計画の作成指導を行わず、監査も適切に行っていなかった。
同じく広島県福山市にある別の協同組合も改善命令を受けた。処分理由はより重く、傘下実習実施者に対する監査を適切に行わず、その事実を隠蔽するため虚偽の監査報告書を外国人技能実習機構に提出したほか、実習実施者への適切な指導を行わず、認定計画に従った実習監理も実施していなかったとされている。
計画認定の取消しと実習実施者への改善命令
実習実施者2者は技能実習計画の認定を取り消された。処分理由はそれぞれ異なる。岐阜県岐南町の企業は同法第16条第1項第3号および第7号に基づき、13件の計画認定を取り消された。両省によると、同社は外国人に不法就労活動をさせており、両省はこれを出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為に当たると判断した。取り消された計画は2021年11月から2024年9月の間に認定されたものだった。
東京都江戸川区の企業は、技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行ったとして、同法第16条第1項第2号に基づき、2024年6月と同年10月に認定された計3件の計画を取り消された。
実習実施者2者には同法第15条第1項に基づく改善命令が出された。富山県射水市の企業は認定計画に従って技能実習を行わせていなかったとされ、奈良県大和郡山市の企業は技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行ったとされた。
| 対象先 | 区分 | 処分内容 | 処分理由 |
|---|---|---|---|
| MANPOWER LTD協同組合(広島県福山市) | 監理団体 | 許可取消し | 複数の傘下実習実施者に対し法定基準に基づく監査を未実施、事実と異なる監査報告書を提出 |
| 岐阜県岐南町の協同組合 | 監理団体 | 改善命令 | 技能実習計画の作成指導が不適切、監査が不適切 |
| 広島県福山市の協同組合 | 監理団体 | 改善命令 | 監査が不適切、隠蔽目的で虚偽の監査報告書を提出、認定計画に従った適切な指導・実習監理を未実施 |
| 岐阜県岐南町の企業 | 実習実施者 | 計画認定13件取消し | 外国人に不法就労活動をさせた |
| 東京都江戸川区の企業 | 実習実施者 | 計画認定3件取消し | 技能実習生の人権を著しく侵害 |
| 富山県射水市の企業 | 実習実施者 | 改善命令 | 認定計画に従った技能実習を未実施 |
| 奈良県大和郡山市の企業 | 実習実施者 | 改善命令 | 技能実習生の人権を著しく侵害 |
確認すべき点
同法は改善命令、計画認定の取消し、許可の取消しについて公示を義務付けている。対象となった団体・企業と関係のある実習実施者や取引先は、自身の認定状況や監理団体の許可状況を直接確認する必要がある。発表資料は、対象となった団体・企業の技能実習生の処遇には触れていない。参照条文では監査基準として傘下実習実施者に対し3カ月に1回以上の頻度で実地確認を行うことが定められているが、発表資料はいずれの処分もこの頻度と直接結び付けてはいない。
