金融庁が2026年8月28日の気候変動データに関するパネルで示した発表資料は、プライム市場の大手企業がサステナビリティ基準委員会(SSBJ)のサステナビリティ開示基準に基づく開示を開始する予定時期を整理している。適用義務化は政令で定められる予定で、時価総額の大きい企業から順次始まる。
| 時価総額 | 適用義務化開始時期 |
|---|---|
| 3兆円以上 | 2027年3月期 |
| 1兆円以上3兆円未満 | 2028年3月期 |
| 5000億円以上1兆円未満 | 2029年3月期 |
時価総額は、予定される内閣府令に基づき5事業年度末の平均値で算定される。5000億円未満の企業については時期が未定で、資料では今後検討するとしている。第三者保証は各区分の開示開始の翌年から義務付けられ、当初2年間は範囲が限定される。経過措置として、当初2年間は半期報告書の提出期限までに提出する訂正報告書にSSBJ基準の記載事項を追加できる規定も設けられる予定だ。
金融機関調査が示した現状
金融庁の気候関連リスクモニタリング室の担当者が個人的見解として行った別の発表では、大手行、地域銀行、生命保険会社、損害保険会社の計17先を対象とする調査に基づき2026年7月に公表された報告書の概要が紹介された。金融機関は総じて風水害リスクを経営上の重要リスクと位置付けているが、過去の事例では融資への影響は限定的だったとしている。風水害による内部格付の下方遷移事例も件数としては少なかった。
課題はリスクモデルにある。水災は考慮していても風災を考慮していない金融機関があるほか、顧客企業の本社以外の主要拠点、サプライチェーンへの波及、複合災害を十分に捉えられていない先もある。
ラウンドテーブルで指摘されたデータ不足
パネルの議事要旨によると、洪水リスクの分析は一定程度進んでいる一方、土砂災害、風災、雪害、渇水に関するデータは十分ではない。参加者からは、顧客企業の拠点や物流、サプライチェーンに関する情報が限られており定量評価には限界があることや、分析手法の違いから結果の比較が難しいことが指摘された。プロジェクトファイナンスでは保険料が上昇しており、被災履歴のある資産では補償範囲が縮小されるケースが多いという。参加者は、完璧なデータがそろうのを待つのではなく、既存の情報を活用すべきだと促した。
