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第2026-11-05号|2026年11月5日

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日銀の9月利上げ、慎重・積極の双方から異論

日銀の9月利上げは賛否双方から異論が出たほか、トヨタは損保保有株を10%ディスカウントで公開買付けへ、ソニーは映画部門が牽引し利益予想を上方修正した。

マーケット

市場概況

11月5日号より2026年11月5日時点(日本時間)
日経平均株価61,077.9-1.79%
TOPIX3,940.39+1.16%
JPXプライム150指数1,642.24+0.61%
米ドル/円158.19+0.07%
新発10年物国債利回り2.855%+3.8 bps

東京株式相場は上昇し、新発10年物国債利回りは小幅に上昇した。

出典:日経、JPX、日銀、財務省(数値のみ、解説は含まず)

2026年11月5日 10年物国債入札

2026年11月5日入札時点(日本時間)

10年債入札平均利回り2.768%
応札倍率3.213x
発行予定額¥2.6tn

2026年11月5日の10年物国債入札の平均落札利回りは2.768%(応札倍率3.213倍)と、前回入札から低下した。

財務省「国債入札結果」

主要記事

利上げ議事要旨の詳細

9本の投票ピンが7対2に分かれた階段状の金利ゲージと、その土台に置かれた原油バレルと円硬貨で、中央銀行の政策委員会における意見の割れを表したイラスト。

日銀の2026年9月利上げ、慎重・積極双方から異論=議事要旨

政策委員2人が1.25%前後への利上げに時期尚早として反対した一方、賛成した委員のうち2人は物価上昇率が目標におおむね達したと主張した。

変更点: 政策委員会は9月18日、無担保コール翌日物レート誘導目標を0.25%引き上げ1.25%前後とすることを賛成7、反対2の多数決で決定した。11月5日公表の議事要旨によると、浅田統一郎委員と佐藤綾野委員は金利関連の3議案すべてに反対票を投じた。浅田委員は、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)が足元で2%を下回っており、景気も必ずしも力強いとは言えないと述べた。佐藤委員は、個人消費の動向や、予想物価上昇率が2%程度に定着しているかを見極めるには時間がかかるとした。高田創委員と田村直樹委員は利上げに賛成したものの、声明文の物価見通しに関する記述に反対した。高田委員は基調的な物価変動を含むCPI上昇率が物価安定目標におおむね達しているとの見解を示し、田村委員は基調的な物価上昇率がすでに目標と整合的な水準にあると述べた。声明文は両委員の反対意見を付記した上で全会一致で採択された。

なぜ重要か: 委員らは、基調的な物価上昇率が2%に近づき、緩和的な金融環境が維持されている間は利上げを継続すべきだとの認識で一致した。ただ利上げのペースについては意見が分かれ、ある委員は物価の上振れ兆候が現れれば利上げを加速させる必要があると指摘した一方、別の委員は対応が後手に回るほど物価上昇のペースは速くないと述べた。多くの委員が中立金利を事前に特定することは難しいとし、ある委員は利上げごとに緩和度合いを点検すべきだと付け加えた。

注目の数字: 執行部は、生鮮食品を除くCPIが当面2%程度で推移した後、今年度後半にかけて加速し3%を超える水準に達すると試算した。一方、委員会の声明文は「2%を明確に上回る」と記すにとどめている。ある委員は、7月以降に原油価格が約50%上昇し、円相場は約5%上昇したと指摘した。

背景: 内閣府は過去の利上げの累積的な影響を検証するよう求め、中立金利の推計についても検討が必要になる可能性があると述べた。財務省は市場に対し政策意図を丁寧に説明するよう求めた。

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注目記事

トヨタの決算と資本政策

利益の増減要因を示す階段状の積み上げ棒グラフの下で、組立ラインを流れる自動車の車体。

トヨタ、通期営業益予想を3.9兆円に上方修正—円高前提でも引き上げ

トヨタ自動車の4〜9月期(中間期)営業利益は9.2%増の2兆1900億円となり、日野自動車に関する954億円の損失を計上しつつも通期予想を5000億円上方修正した。

変更点: トヨタは2027年3月期の通期営業利益予想を従来の見通しから5000億円引き上げ、前期比3.6%増の3兆9000億円とした。営業収益予想は従来の54兆円から53兆5000億円に引き下げ、想定為替レートは1ドル=160円から157円へと円高方向に見直した。4〜9月期の連結販売台数は0.5%減の475万8000台となったものの、営業収益は9.5%増の26兆9600億円だった。

注目の数字: 中間期の営業利益が全体で1854億円増加したうち、為替変動は6850億円の増益要因となった。同社の決算説明資料によると、為替変動やスワップ評価損益などの影響を除いた実質ベースでは1950億円の減益となる。原価改善の取り組みは3400億円の減益要因となり、中東関連の影響1250億円を含む資材価格の高騰が4650億円利益を押し下げた。

注意点: 7〜9月期の税引前利益は前年同期の1兆2300億円から9905億円に減少し、日野自動車の支配喪失に伴う損失954億円を計上した。通期の純利益予想は依然として前期比7.2%減を見込む。

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4つの保有者からの株式を表すブロックが漏斗を通って金庫へと流れ込む様子で、企業の自己株式公開買付けを表現した抽象イラスト。

トヨタ、自社株買い枠を1.3兆円に拡大—損保保有株に2725円でTOB

トヨタ自動車は自社株買いの上限を1兆円から1兆3000億円に引き上げ、手元資金を用いて損保各社が保有する株式を最大約1億875万株、10%のディスカウント価格で公開買付け(TOB)により取得する計画だ。

変更点: 11月5日の取締役会で、現在実施中の自己株式取得枠の上限を従来の5億株・1兆円から6億1000万株・1兆3000億円に引き上げるとともに、取得方法として市場買付に加え自己株式の公開買付けを追加した。同社は9月30日までに6376万6500株を1950億円で取得している。

注目の動き: TOBの買付価格は1株2725円で、11月4日終値(3028円)から10%割り引いた水準。買付期間は11月6日から12月7日までで、決済開始日は12月29日。買付予定数は自己株式を除く発行済株式総数の0.92%に相当する1億875万741株で、取得総額は約2964億円となる。応募が上限を超えた場合はあん分比例で買い付ける。この取得費用は拡大後の1兆3000億円の枠内に収まる。

なぜ重要か: トヨタによると、今回のTOBは政策保有株の縮減方針を掲げる損保各社の意向に対応したもので、市場で売却されれば株価の重荷になり得るという。三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパンの4社が応募の意向を示している。各社は今回の規模を上回る売却意向を持っており、応募が上限を超えた場合は買付株数の調整が必要になるという。

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注目記事

主要決算を読み解く

映画のリール、ゲームコントローラー、イメージセンサーのウエハーが上昇する棒グラフの横に並び、利益予想引き上げの背景にある事業部門を示唆するイラスト。

ソニーG、通期営業益予想を1.87兆円に上方修正—映画とゲームが牽引

ソニーグループは通期の営業利益予想を従来の1兆7200億円から1兆8700億円に引き上げた。一方、イメージセンサーは減収となり、同部門の増益は為替の恩恵に支えられた形となった。

変更点: 1500億円(9%)の上方修正は、主に映画分野とゲーム分野の増益によるもの。通期の売上高予想は従来の12兆5000億円から13兆円へ、当社株主に帰属する当期純利益予想は1兆2100億円から1兆3300億円へとそれぞれ引き上げた。7〜9月期の売上高は前年同期比10%増の3兆4300億円、営業利益は45%増の6223億円だった。

数字で見る: 映画分野は売上高が48%増の5137億円、営業利益が前年同期の139億円から926億円へと急増した。同社は主に『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の劇場興行収入が寄与したとしている。ゲーム&ネットワークサービス分野の営業利益は前年同期の1204億円から2201億円に増加した。前年同期にバンジー(Bungie)関連の減損損失315億円を計上していた反動も増益要因の一部となっている。

注意点: イメージング&センシング・ソリューション分野は、モバイル機器向けイメージセンサーの減収が響き、売上高が6%減の5776億円となった。営業利益は12%増の1546億円だったが、為替のプラス影響が259億円あり、増益幅の164億円を上回った。

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製鉄所のヤードに並ぶ鋼材コイルの列の中で、1つのコイルだけが小さなタグで区別されており、利益総額に含まれる一過性項目を表現したイラスト。

日本製鉄が利益予想を上方修正、純利益に米税額控除961億円計上

日本製鉄は通期の純利益予想を従来の2900億円から4400億円に上方修正した。USスチールにおけるアーカンソー州の税額控除に伴う一過性の利益が含まれている。

変更点: 対象となるのは2027年3月期通期の見通し。961億円の税額控除はUnited States Steel CorporationにおけるBig River 2の設備投資に関連するもので、税金費用を減額する形で一括計上された。この控除は事業利益には含まれず、通期の事業利益予想は従来予想比900億円増の7200億円(前期実績は5141億円)を見込む。

注目の数字: 4〜9月期の親会社の所有者に帰属する中間利益は、法人所得税費用が321億円のマイナス(利益押し上げ要因)となったこともあり、従来予想の1200億円を上回る2630億円となった。業績見通し表によると、下期の同利益は1771億円を見込む。

全体像: 在庫評価差などを除いた実力ベースの事業利益は、従来予想から700億円引き上げ7700億円とした。国内事業は3800億円で据え置いた一方、海外事業は700億円増の3900億円を見込み、このうちUSスチールとNippon Steel Slovakiaで500億円増の2300億円としている。年間配当予想は1株当たり24円で据え置いた。

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栗田工業、米国案件で上期利益184億円下押し—損失引当金以外にも負担

栗田工業は、米国の1案件に伴う売上高の取り消し、88億円の損失引当金、16億円の工場減損により、4〜9月期の営業利益が184億円押し下げられたと発表した。

何が起きたか: 4〜9月期の売上高は9.3%増の2069億円となったものの、事業利益は74.0%減の62億9000万円に落ち込んだ。原因は米国で受注した電子産業向けの大型水処理装置案件で、同社は工事進行基準を適用して計上している。総見積原価を大幅に引き上げた結果、進捗度が低下し、すでに計上していた売上高と利益が取り消された。また、見込まれる損失額も工事損失引当金として計上した。

注目の数字: 同社の利益増減分析によると、上期に同案件で200億円の追加コストが発生した。第1四半期時点ではコスト影響を約30億円と見込んでいたが、現在は236億円に膨らんでいる。発表資料では、米国特有の規格や設計認証、顧客要求への対応により、設計の遅延や品質問題が生じたとしている。顧客名や完工時期は明らかにしていない。

なぜ重要か: 通期の事業利益予想は、8月時点の615億円から400億円に引き下げた。236億円の追加コストを除けば、21億円の上方修正だった計算になる。中期経営計画「PSV-27」の目標数値や成長戦略に変更はないとしている。

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注目記事

規制とガバナンス

多数の細いデータの流れが1つの水路に合流した後、銀行窓口の列へと枝分かれし、そのうちの1つが赤いアクセントで要注意として示されている抽象イラスト。

警察庁、特殊詐欺口座の情報を11月9日から全国一元共有へ

警察庁は11月9日から、全国47都道府県警察が把握した不正利用口座の情報を集約して30の金融機関に提供し、金融機関側で該当口座に送金した顧客を検出して警察が接触できるようにする。

変更点: この枠組みは2024年10月に埼玉県警が開始し、これまで各都道府県警察と地方銀行などの間で運用されてきた。今回、警察庁が都市銀行などと直接協定を結び、口座情報を自ら集約して協定締結先の全金融機関へ一元的に提供する。11月5日にはインターネット専業銀行や信託銀行を含む30機関が協定を結んだ。

詳細: 警察は被害者からの相談や申告をもとに詐欺の被害金が振り込まれた口座を特定し、金融機関に提供する。金融機関は自行内の振込データから該当口座へ送金している顧客を割り出し、潜在的な被害者として警察に情報を提供、警察がその顧客に接触する仕組みだ。

注目の数字: 2025年の特殊詐欺被害額は3257億4000万円と過去最悪を記録した。今年8月末時点の被害額も前年同期比約33%増の約2361億円に達している。警察庁は、金融機関による通常のモニタリングよりも迅速に潜在被害者を発見できるとしているが、発表資料にはそれを裏付ける検出実績は示されていない。

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企業に資金を供給する階層状の融資枠と、未実行の融資枠ゲージ、監督機関のチェックポイントゲートを描いた図解イラスト

金融審WG、プロ向け融資の規制緩和を議論—委員は国の監督維持を主張

金融庁のワーキング・グループは10月9日、コミットメントフィーをみなし利息の制限から除外することや、ノンバンク社債発行体の資本金10億円要件の緩和を議論した一方、委員からは国の監督維持を求める意見が出た。

何が起きたか: 議事録に記録されているのは論点の討議であり、決定事項ではない。金融庁事務局は、「プロの借入人」を定義するにあたりコミットメントライン法の対象企業13類型を出発点とすることを提案し、プロ向け貸付けのみを行う貸金業者に対する参入規制、行為規制、債権譲渡規制の緩和について委員の見解を求めた。また、大口の借入人から徴収するコミットメントフィーをみなし利息から除外すべきかどうかも諮った。

詳細: 日本プライベート・エクイティ協会は、ファンドの運用期間が約10年に及ぶにもかかわらず、貸金業登録は3年ごとに更新が必要だと指摘した。Fintech協会は、2025年のベンチャーデット市場が約2200億円に達したことを挙げ、ノンバンク社債法における資本金10億円の要件を1億円に引き下げ、登録制を廃止するよう提案した。

読み解くポイント: 大半の委員が方向性を支持したものの、複数の委員から、ファンドや特別目的会社(SPC)、スタートアップを対象とするにはコミットメントライン法の対象リストでは狭すぎる可能性があるとの指摘が出た。監督体制について発言した委員らは、国による監督の維持を支持した。議事録には報告書取りまとめや法改正に向けた日程は示されていない。

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メディパル、株主総会での配当決定を可能にする定款変更を12月15日付議—取締役会の権限は維持

メディパルホールディングスは12月15日の臨時株主総会に定款第39条の変更を付議し、取締役会に加え株主総会でも配当を決定できるようにする一方、同じ採決に紐づく特別配当と850億円の自社株買いには反対を推奨している。

変更点: 現行の定款第39条は、剰余金の配当などは取締役会の決議によって定め、株主総会の決議によっては定めないとしている。今回の変更案では、取締役会の決議に「よる」を「よることができる」に改め、株主総会での決定を禁じる条項を削除する。第1号議案は会社提案であると同時に、同一内容の株主提案でもある。提案株主はシルチェスター・インターナショナル・インベスターズ傘下のファンドに紐づくノーザン・トラストのカストディ口座。

なぜ重要か: 他の3議案はいずれも取締役会が反対する株主提案で、10月に社長を退任した取締役の解任、1株当たり122円(総額約249億円)の特別配当、および上限3380万株・850億円の自己株式取得となっている。特別配当と自己株式取得は第1号議案の可決が条件となる。同社によると、両議案が可決されれば短期間で約1099億円が社外へ流出することになる。

要点: 取締役会は、利益のほぼ全額を社外流出させれば成長投資が圧迫されると主張し、850億円は2026年9月末時点の株主資本の約15.4%に相当すると指摘している。なお同社は、現行で40%以上としている総還元性向の目標を引き上げる検討に着手している。

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