日本製鉄(5401)は11月5日、2027年3月期の業績予想を上方修正した。親会社の所有者に帰属する当期利益の見通しは、8月4日公表の2900億円から4400億円に引き上げた。修正理由として同社は、国内グループ会社の収益改善、地産地消型事業の強化による海外事業の収益拡大に加え、United States Steel CorporationでのBig River 2設備投資に係るアーカンソー州税額控除の一過性影響961億円を挙げている。
| 項目 | 8月予想 | 修正予想 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 11兆2000億円 | 11兆7000億円 | +4.5% |
| 事業利益 | 6300億円 | 7200億円 | +14.3% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 2900億円 | 4400億円 | +51.7% |
| 基本的1株当たり当期利益 | ¥55.00 | ¥84.00 | ― |
税額控除の計上区分
決算補足資料によると、この税額控除は繰延税金資産および税金費用の減少として一括計上された。同資料で事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費、その他費用を控除し、持分法による投資利益およびその他収益を加えたものと定義されており、税額控除はこれに含まれない。事業利益予想は900億円引き上げられ7200億円となった。前期実績は5141億円だった。当期利益予想は1500億円の上方修正となり、4400億円の総額には961億円の税額控除が含まれている。
中間決算短信にはその影響が表れている。9月までの6カ月間の親会社の所有者に帰属する中間利益は、従来予想の1200億円に対し2630億円となった。法人所得税費用が321億円の利益押し上げ要因となったため、税引後の中間利益は税引前中間利益の2470億円を上回った。9月30日時点の繰延税金資産は1841億円と、3月末の423億円から増加した。
事業面の要因
在庫評価差等を除いた実力ベース事業利益は、8月時点の予想から700億円増の7700億円を見込む。国内の実力ベース事業利益は3800億円で据え置いた。8月予想からの増減内訳は、鉄グループ会社で100億円増、非鉄3社で50億円増となる一方、為替影響を含むマージンで150億円の減少を見込む。
同社によると、原燃料価格の上昇に対する価格転嫁の遅れや、台風・豪雨による生産・出荷への影響から、国内事業は依然として厳しい状況が続いている。下期にはさらなる追加値上げを進める方針だ。
海外の実力ベース事業利益は700億円増の3900億円と予想する。このうちNippon Steel Slovakiaを含むU.S. Steelが500億円増の2300億円を占める。同社はU.S. Steelにおける鋼材市況の上昇と操業シナジーの発揮を要因に挙げている。
上期と下期の内訳
損益見通しでは、事業利益を上期3074億円、下期4126億円としている。一方、当期利益はアーカンソー州の税額控除を上期に計上済みのため、上期の2630億円に対し下期は1771億円と逆の動きとなる。同社は、業績予想は発表日現在の前提に基づくものであり、実際の業績は大きく異なる結果となる可能性があると注意を促している。
年間配当予想は1株当たり24円で据え置き、中間配当は12円とする。
