半導体メーカーのローム(6963)は11月5日、2027年3月期の通期業績予想を上方修正し、営業利益予想を5月12日時点の300億円から500億円に引き上げた。売上高予想は5100億円から5500億円に、純利益予想は290億円(1株当たり75円12銭)から450億円(同116円56銭)にそれぞれ引き上げた。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正予想 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5100億円 | 5500億円 | +7.8% |
| 営業利益 | 300億円 | 500億円 | +66.7% |
| 経常利益 | 360億円 | 530億円 | +47.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 290億円 | 450億円 | +55.2% |
| 1株当たり当期純利益 | ¥75.12 | ¥116.56 | - |
同社の2026年3月期実績は、売上高が4811億円、営業利益が109億円、純損益が1584億円の赤字だった。したがって、新たな純利益予想は小幅な黒字からの回復ではなく、黒字転換を意味する。
AIにとどまらない幅広い需要
ロームの開示資料は3つの需要源を挙げている。生成AIの普及に伴うデータセンター投資により、サーバー・ストレージ向けを中心に「高水準」の需要が継続している。産業機器ではファクトリーオートメーション(FA)向けを中心に需要が回復している。自動車では、同資料で定義なく使われている区分であるxEV向け製品の需要が底堅く推移している。
同資料では、売上高予想の上振れ分である400億円の市場別内訳は示されていない。ただ、上期決算からその一端がうかがえる。上期売上高は14.4%増の2795億円となり、家電向け需要が弱含んだ一方、自動車、産業機器、コンピュータ&ストレージの各市場で増収となった。また同社によると、LSIと半導体素子の両セグメントでサーバー向け製品の売上が大幅に増加した。
数量だけでなく価格とコストも寄与
利益面についてロームは、原材料やエネルギー、物流費のコスト上昇が続いているとしている。ただ、増収に加え、「価格適正化」やコスト削減の取り組みが進展していることから、期初想定を上回る収益性の改善を見込む。上期の営業利益は前年同期比128.5%増の175億円となった。増収効果と、前期に計上した減損処理に伴う減価償却費の減少が寄与したとしている。上期の純利益は同51.0%増の156億円だった。
通期予想の下期の前提為替レートは1ドル=153円としている。
SiC事業に残る課題
ロームは構造改革と並び、炭化ケイ素(SiC)事業の収益化を課題に掲げており、上期決算はその理由を裏付けている。SiCパワーデバイスを含む半導体素子セグメントの営業損益は44億円の赤字と、前年同期の98億円の赤字から縮小した。同社によると、SiCはxEV向けとサーバー向けの販売が堅調に推移した。通期のセグメント別売上高予想は、半導体素子が2456億円、LSIが2489億円としており、前回予想ではなく前期実績との比較で示している。
ロームは年間配当予想を50円に据え置いた。中間配当は1株当たり25円と決議し、支払開始日は12月4日としている。
これらは経営陣による業績予想であり、ロームはその達成を約束するものではないとしている。需要の評価は同社が自社の市場を独自に読み解いたものであり、業界全体の動向を示す指標ではない。
