本文へ移動

金融プロフェッショナル向けに、日本の市場・ビジネス情報を平日夕方に配信。

無料登録
Tokyo BriefTokyo Brief 日本語版日本のビジネスニュースを、夕方に総まとめ。

記事

三菱ケミカルグループ、香川の炭素材事業を継続 他社原料では炭素繊維の目標達成困難

三菱ケミカルグループは、他社原料では炭素繊維の目標達成が困難と判明したため、香川事業所でのニードルコークスとピッチコークスからの撤退を取りやめた。2027年4月に始まる年度に生産を一時休止し、1年後の再稼働を見込む。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年11月5日3分で読める三菱ケミカルグループ4188
改修用の足場に囲まれたコークス処理設備と、その横に並ぶ炭素繊維ボビンのラックのイラスト。

三菱ケミカルグループ(4188)は、香川事業所における炭素材事業からの撤退計画を撤回した。他社原料では目標とするピッチ系炭素繊維の性能達成が困難であると判明したため、ニードルコークスとピッチコークスの製造を継続するとしている。2026年11月5日開催の執行役会議で決定した。

撤回に至った経緯

同社は2026年2月2日、子会社の三菱ケミカルにおいてコークスおよび炭素材(ニードルコークス、ピッチコークス)から撤退し、設備を撤去すると発表していた。ピッチ系炭素繊維事業については、他社から原料を購入する前提で継続する予定だった。

しかし、その前提は崩れた。AI・データセンター関連ビジネスの急拡大を受けて改めて検討した結果、他社原料では目標性能の達成が困難であることが判明したという。経営陣は、炭素繊維の競争力には原料技術と設備を自社内に維持することが不可欠だと判断した。

香川事業所での変更内容

当初の計画では、2027年4月に始まる年度の下期に生産を停止し、設備を撤去した上で順次販売を終了する予定だった。変更後の計画では、炭素繊維の原料に必要な設備を維持・改修し、ニードルコークスとピッチコークスの生産・販売を継続する。ただし改修工事のため、2027年4月に始まる年度の下期に生産を一時休止し、2028年4月に始まる年度の下期の再稼働を見込む。

同社は今後の取引について顧客と個別に相談するとしている。今回の開示資料には、休止期間中の供給条件や改修費用は記載されていない。

コークス事業は予定通り撤退

撤回の対象は炭素材のみとなる。別のコークス事業については2月の発表通り撤退を進め、2027年4月に始まる年度の下期に生産を停止した後、設備を撤去し、順次販売を終了する。

業績への影響

同社は2月の撤退公表に関連し、前年度にリストラクチャリング引当金を約597億円計上していた。今回、予定していた設備撤去費用と特別退職金の一部が不要となる見込みとなったため、2027年3月期第3四半期に引当金の戻入として約90億円の非経常利益を計上する予定だ。正確な金額は現在精査中だが、同日公表した通期連結業績予想には織り込み済みだとしている。

炭素繊維の展開先

同社は今回の決定により、ピッチ系炭素繊維の品質安定化と供給体制の強化を図るとしている。5G・6G通信インフラやAIサーバー、データセンター向けの熱マネジメント用途に加え、高い弾性率と寸法安定性を生かした宇宙関連用途への展開を加速する方針だ。