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AGC、利益予想を下方修正 自動車ガラスのコストやコロラド拠点売却損響く、売上高は据え置き

AGCは営業利益予想を1500億円から1200億円に、親会社所有者帰属純利益予想を48%減の400億円に引き下げ、売上高予想は2兆2000億円に据え置いた。同社はオートモーティブのコストや化学品の原燃材料価格、販売数量の未達、コロラド拠点の売却損を理由に挙げた。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年11月5日3分で読めるAGC5201
工場内のラックに並ぶ自動車用フロントガラスのパネルと、背景のステンレス製バイオリアクター容器および灰色の階段状棒グラフ。

AGC(5201)は11月5日、2026年12月期の利益予想を下方修正する一方、売上高予想は据え置いた。営業利益見通しは2月6日時点の1500億円から20.0%減の1200億円に引き下げた。親会社の所有者に帰属する当期純利益は770億円から48.1%減の400億円、基本的1株当たり当期純利益は363円12銭から188円55銭にそれぞれ引き下げた。売上高予想は2兆2000億円を維持した。

AGCの通期業績予想:修正前後
2026年12月期連結。出所:AGCの2026年11月5日付業績予想修正開示。
項目2月6日予想11月5日予想増減率
売上高2兆2000億円2兆2000億円据え置き
営業利益1500億円1200億円-20.0%
税引前利益1240億円820億円-33.9%
当期純利益900億円490億円-45.6%
親会社所有者帰属純利益770億円400億円-48.1%
基本的1株当たり当期純利益¥363.12¥188.55-48.1%

営業利益の下振れ要因

AGCは業績予想の修正開示で、営業利益の下振れ要因として4点を挙げた。オートモーティブの北米・欧州における製造コストの悪化、エッセンシャルケミカルズ東南アジアにおける原燃材料価格の上昇、建築ガラスの欧州・アジアおよびバイオ医薬品開発製造受託(CDMO)における販売数量の未達だ。

決算説明会資料には、2月時点の予想に対するセグメント別の数値が示されている。引き下げ幅が最も大きいのはオートモーティブで、320億円から170億円へと下方修正された。AGCは北米・欧州での製造コストを要因に挙げており、欧州では高機能製品の構成比上昇に伴い生産性が悪化したほか、北米については説明会資料でオペレーション面の課題を挙げている。

下方修正されたセグメント別営業利益予想
2026年12月期。出所:AGC決算説明会資料(2026年2月6日および11月5日発表予想)。
セグメント2月6日予想11月5日予想増減額
オートモーティブ320億円170億円-150億円
建築ガラス200億円110億円-90億円
ライフサイエンス-50億円-130億円-80億円
化学品560億円550億円-10億円

建築ガラスの営業利益見通しは200億円から110億円に引き下げられた。説明会資料は、欧州・アジアでの景気低迷による販売数量の未達、欧州でのエネルギー価格高騰、日本での計画外の設備修繕を要因に挙げている。ライフサイエンスセグメントの営業損益は、従来の50億円の赤字予想から130億円の赤字見通しとなった。AGCは新規受託の生産開始遅延と、コロラド拠点の売却遅延に伴うコスト増を理由に挙げている。

需要と資産売却

コロラド拠点の売却は、営業利益より下の利益項目に別途響いている。業績予想の修正開示によると、バイオ医薬品CDMOのコロラド拠点売却に伴い、当初見込んでいなかった固定資産売却損を計上したことで、税引前利益、当期純利益、親会社の所有者に帰属する当期純利益は営業利益の下振れ以上に押し下げられた。1〜9月期の決算短信の注記によると、AGC Biologics, Inc.が保有するコロラド拠点の資産に係る売却損は104億円。説明会資料によると、売却対象からロングモントの土地の一部は除かれている。

また1〜9月期決算には、AGC Chemicals Europeの英国拠点での生産終了決定に伴う事業構造改善費用101億円も含まれている。業績予想の修正開示では、同費用を下方修正の理由には挙げていない。

売上高据え置きでも楽観できない理由

売上高予想の据え置きは需要の底堅さを示すものではない。1〜9月期の売上高は10.0%増の1兆6600億円となったが、決算説明会資料によると、1505億円の増収分のうち911億円は前年より対ドル・対ユーロで進んだ円安による為替影響だった。同期間の営業利益は2.1%減の929億円となった。

年間配当予想は前期と同額の210円に据え置いた。経営陣は2027年以降、業績回復に応じて株主還元方針の見直しも検討するとしている。