ウェブ版
アポロがガラスメーカーの経営権を握る、日本のディール・シーズンは続く
資本金5000円のペーパーカンパニーが東証プライム上場のガラスメーカーを支配下に置いた。伊藤忠は上場コンサルティング会社を合弁会社に組み込み、カレーチェーンは非公開化の検討を認めた。
マーケット
市場概況
東京株式市場は上昇し、10年物国債利回りはやや上昇した。
日本経済新聞、JPX、日銀、財務省のデータに基づく数値であり、論評ではない
主要記事
ビッグストーリー:アポロ助言ファンドが日本板硝子の支配権を取得

アポロ系ビークル、日本板硝子の72%支配権取得 9月下旬に上場廃止へ
日本板硝子に新たな支配株主が誕生した。アポロ・グローバル・マネジメント系列会社の助言を受ける、資本金わずか5000円の特別目的会社ルミナ・ジャパン・アクイジションである。同社は3月に取締役会が承認した1650億円の第三者割当増資の払込を完了し、議決権366万6666個、全議決権の72.04%を取得したと、日本板硝子が8月31日に関東財務局へ届け出た。
変更点: 割当代金の払込により、取締役会承認済みの計画が実際の支配権移動へと転じ、払込資本金約5000円の法人が東証プライム上場のガラスメーカーを支配する形となった。
注目点: 日本板硝子は9月28日を東証プライム市場の上場廃止基準充足の目標日としている。これとは別に、同社は9月30日付で株式併合を実施してスクイーズアウトを完了し、残る少数株主は12月下旬から1株500円で買い取られる。
注意点: 実際に経営を主導する法人は5桁の円建て資本しか持たないペーパーカンパニーであり、実質的な資金はアポロのファンドが数段階を経て保有している。
注目記事
ディール・シーズン:買収提案、非公開化、そして取締役会の拒絶

伊藤忠系ビークル、電通総研を非公開化へ1株2880円で公開買付
伊藤忠商事の投資ビークルである合同会社VICは、1株2880円で電通総研を非公開化する。ただし完全買収ではない。電通グループは保有する61.78%の株式(1億2077万9736株)を売却せず、応募しない株主を締め出す後続の株式併合にも賛成票を投じる旨の不応募契約を締結した。この結果、電通の日本国内コンサルティング・システムインテグレーション事業は伊藤忠と電通グループの新たな合弁会社に組み込まれ、電通総研は東京証券取引所から上場廃止となる。
なぜ重要か: これは単なる業務提携の発表ではなく、著名な広告・IT企業グループにおける実質的な支配権取引であり、少数株主は固定価格で買い取られる一方、支配株主である親会社は伊藤忠との合弁パートナーとして長期的に関与を続ける。

壱番屋とハウス食品、非公開化検討を認めるも株式売却報道は確認せず
壱番屋とハウス食品グループは8月31日、ほぼ同内容の開示を行い、CoCo壱番屋運営会社について非公開化を含む選択肢を検討していると認めた。これは日本経済新聞電子版が、ハウス食品が買収の一環として保有株を売却すると報じたことを受けたものである。両社とも日経の報道内容そのものについては確認せず、具体的な事実は何ら決定していないとしている。
なぜ重要か: 両社は著名なカレーチェーンの非公開化案を検討していることを認めたが、日経が報じた株式売却の具体的な手法については未確認のままである。
SBI、BASE買収を20%上限に設定 2度の反発受け価格引き上げ
SBIホールディングスは8月31日、BASE株最大2379万2300株を対象とする公開買付を開始した。これは案件独自の株式数算定方式で20.00%に相当する上限で、電子商取引プラットフォームの反発を受けて2度価格を引き上げた末の1株340円での買付となる。買付予定株数の下限は設定されておらず、上限を超える応募があった場合は按分比例方式で買い付け、持分が20%を超えないようにする。
注目の動き: SBIは今回、買収ではなく持分法適用会社レベルの出資となるよう意図的に設計しており、この区別はBASEの独立性や株主が応募するか判断する上で重要な意味を持つ。
ツインバード取締役会、ジャパネットの1株800円TOBに反対表明
ツインバードの取締役会は8月31日、ジャパネットホールディングスが計画する1株800円での完全子会社化を目的とした公開買付に反対する旨を全会一致で議決し、TDnetを通じて正式な反対表明を開示した。同買付は、ツインバード自身の取締役会による賛同意見の表明を前提条件として組み込む形で設計されており、ジャパネットはこれが得られなければ買付を全面撤回すると表明している。
注目点: ジャパネットは取締役会の意見表明期限を10月30日に設定しており、これが得られなければ買付は失効し、ジャパネットは価格引き上げか撤退のいずれかを迫られることになる。
注目記事
業績予想の乱高下と新たなソフトウェア協定

中国のタングステン輸出停止、フジダイスは売上高予想下方修正・利益予想は上方修正
超硬耐摩耗工具・金型で国内首位のフジダイスは、通期売上高予想を6.2%下方修正し244億円とする一方、利益見通しは上方修正した。同社はこの分岐の要因を、10カ月目に入った中国のタングステン輸出停止に求めている。この輸出停止によりタングステン指標価格は約10倍に上昇し、フジダイスは国内受注量が想定を上回るペースで減少する中でも、コストを顧客に転嫁できている。
注目の数字: 中国の輸出規制一つが、日本メーカーの損益計算書の両方の項目を同時に動かしており、調達可能なタングステンの利幅を押し上げる一方で、それを使う工具の市場を縮小させている。

トリケミカル研究所、AI半導体需要で通期利益予想を43%上方修正
トリケミカル研究所は、2027年1月期の通期利益予想を、3月に公表した46億円から65.7億円に上方修正した。上半期業績が計画を大きく上回ったためだ。同社は、中国・台湾の半導体メーカーによる設備投資の拡大と韓国のメモリ生産増加を要因として挙げている。
波及効果: 特殊化学品サプライヤーによる43%の利益予想上方修正は、半導体メーカー自身の設備投資発表そのものではなく、AI半導体投資サイクルがどれだけ実際に日本サプライヤーの受注に波及しているかを直接示すものだ。
ホンダと日産、車両中核コンピューター・ソフトウェアの共通化で契約締結
ホンダと日産自動車は8月31日、次世代車両の中核となるコンピューター用ハードウェアとソフトウェアを両社共通化する拘束力のある共同開発契約を締結した。2029年度からの導入を目指す。両社は2027年3月期への財務影響は軽微であるとのみ開示し、シナジー額は示さなかった。
なぜ重要か: 競合関係にある自動車メーカー2社が、車両の基幹となるECUとソフトウェアアーキテクチャの標準化に踏み込んでおり、近年の提携報道よりも踏み込んだ協力形態となっている。
REVOLUTION、クラウドファンディング子会社を現職取締役に100万円で売却 業績予想を全面撤回
REVOLUTIONは8月31日、クラウドファンディング事業から撤退し、これを運営する子会社WeCapitalを、社外の買い手が現れなかったため自社取締役の1人に100万円で売却した。同日、同社は通期業績予想と中期経営計画を全面的に撤回し、今期の利益がどうなるか見通せなくなったとしている。
なぜ重要か: 今回の売却と予想撤回は、REVOLUTIONが東京証券取引所の特設注意市場銘柄指定を受けている中で行われたもので、同社によると社内調査委員会の報告書は8月31日夕方時点でまだ届いておらず、調査は依然継続中である。
ニュース短信
知っておきたいその他のニュース
ソニー・ミュージックエンタテインメント、SONフィナンシャル撤退でガンホー株23.29%取得へ
続きを読む現在SONフィナンシャルが保有する12万65個の議決権全てが、12月30日にソニー・ミュージックエンタテインメントへ移転する予定で、これに伴う資本業務提携により買主はガンホーの将来の株式発行に対する同意権を得る。
ランサムウェア被害でコタの有価証券報告書提出が遅延、内部統制の不備を指摘
続きを読む3月に発生したランサムウェア攻撃によりコタのサーバーが停止し、数カ月にわたる手作業での経理処理を余儀なくされたため、同ヘアケアメーカーの有価証券報告書提出は通常の期限を過ぎた。同社は、この結果として内部統制は有効でなかったとしている。
UTグループ創業者、自ら率いる会社へ19.46%の保有株を移転 資金は自身からの貸付で賄う
続きを読むUTグループの創業者は、自身が率いる資産管理会社(合同会社)に対し1株182円で1億3550万株を譲渡する。対価の大部分は、創業者自身が同社に対して行う246.6億円の貸付で賄われ、創業者陣営の合計保有比率36.95%に変化はない。
カカクコム非公開化案、1円引き上げ3571円に オアシスとの合意は失効
続きを読むカカクコムの買収を提案するプライベートエクイティは、公開買付価格を1円引き上げ1株3571円とし、期限を9月10日に延長した。しかし、オアシスとの間で結んでいた応募誓約は、提案者自身が価格調整の期限を守れなかったため失効し、同株主が応募するかどうかは未定となっている。
住友林業、トライポイント買収債務の借り換えで2トランシェのハイブリッドローン締結
続きを読む住友林業は、完了済みのトライポイント・ホームズ買収に伴う借入金返済のため、690億円と375億円の劣後シンジケートローンを締結した。償還期限はそれぞれ2062年と2064年で、R&IとJCRは調達額の半分を資本とみなす見通しである。
フリービット、次回決算発表も期限超過へ 独立調査は長期化
続きを読むフリービットは、カウントアップ買収を巡る委員会の検証が終了時期未定のまま続いているため、次回の決算発表、遅延している通期決算、有価証券報告書の提出時期をいずれも明示できていない。
プロシップ、日本のリース会計基準施行を前に受注残高が急増
続きを読むプロシップのリース会計対応SaaS製品の受注は6月期に2674%急増し、受注残高は過去最高の69.3億円に達した。ただし経営陣は、2027年4月に日本の新リース会計基準が施行されればこの需要は消失すると説明している。